何でもかんでもAIに聞く前に:仮説思考
知らない単語や事象に出会ったとき、すぐにAIに聞いて調べることは、本当に自分のためになっているの? 検索履歴は残っても、記憶には残ってないことが多いと感じています。
スマホの画面に向かって問いかければ、数秒で整然とした回答が返ってくる時代になりましたね。疑問が即座に解消されるのは、たしかに気持ちがいいものです。
でも、それって、その場だけの快楽、いわばドーパミン的な快楽に過ぎないのではないかと思うんです。
今日は、AIにすぐに頼ってしまう風潮の中で、あえて自分の頭で考えることや記憶することの重要性について、書いてみます。
その検索は「自分のため」になっていますか?
「わからないことがあれば、すぐにAIに聞けばいい」
「今の時代、知識や情報を記憶しておく必要なんてない」
世間では、そんな風潮が広まりつつあります。たしかに、膨大なデータベースにいつでもアクセスできるのですからね。でも、AIに教えてもらった回答って、驚くほど自分の記憶に残っていない気がしています。そんなこと友人に言うと、
「検索履歴が残っているから大丈夫」
「いつでも引き出せるよ」
と反論されることがありました。でも、同じ単語や質問を、過去になんども検索していることがあります。そもそも、前回検索したことさえも忘れていることもありますよね。
それって本末転倒ですし、かえってタイパが悪いですよね。
人間の記憶力というものは、どれだけでも蓄積できる無限の可能性があるんだから覚えちゃえばいいのに、あえて記憶するのは無駄って風潮でいいのかな?
記憶は不要になったのか?
ただ機械的に丸暗記すればいいというわけではありません。学生時代のテスト勉強のように、一夜漬けで無理やり詰め込んだ知識は、悲しいほどすぐに抜け落ちてしまいます。あれは単なる短期記憶だからでしょう。
知識が真の意味で記憶として定着し、忘れにくくなるためには、覚えるプロセスの中に思考や経験が伴う必要があります。
自分で疑問を持ち、あれこれと背景を推測し、調べ、そして行動してみる。この一連の考える作業を経ることで初めて、情報は生きた知識として自分の記憶として定着し、長期記憶になるんだと思います。
この考える作業において、私が長年大切にしているのが「仮説思考」です。かつてビジネスの最前線でマーケティングや営業などに携わっていた頃、内田和成氏の著書『仮説思考』が好きで何度も読み返してきました。この思考法は、現在も私の生活の基礎になっています。
仮説思考とは、情報や分析が不十分な段階でも「おそらくこうなるのではないか」「こういう意味ではないか」という仮の結論を立てることです。この仮の結論を仮説といいます。その仮説をもとに行動し、検証と修正を繰り返すことで、効率的に問題解決を行います。スピード感を持って本質的な解決策を導き出すため、ビジネスの意思決定において非常に重要な手法です。
この仮説思考が身についていると、日常生活で知らない単語に出会ったり、未知の事象が起きたりしたとき、すぐにAIに頼らなくてもいいんです。まずは自分の頭で考えることからスタートするのです。
会話の余白と、推察を楽しむ贅沢
会話をしている中で「〇〇ってどういう意味だろうね?」と話題になったとき、「AIに聞けばすぐわかるじゃん」では、自ら自分の思考を停止しているような気がするんです。
もちろん、純粋に正しい意味だけを素早く知りたい場面もあります。しかし、正解がわからなくてもいいケースも、日常にはたくさんあります。
知識欲を満たすためにただ調べるだけでなく、会話の中で「あれって、もしかしてこういうことじゃない?」「いや、時代背景を考えるとこうかもね」と、友人同士で仮説思考を巡らせる。推察しながら会話のプロセスそのものを楽しむ。そういう余白のこそが豊かな時間なんです。
情報過多な時代だからこそ、すべてを即座に知ろうとしなくてもいい。ある程度で「足るを知る」余裕を持ちながら、自分の頭で想像する楽しみを残しておきたいと感じます。
AIは便利なツールです。しかし、それに頼り切って自分の頭で考えることをやめてしまっては、人としての成長も止まってしまいます。
なんでもかんでもAIに聞く前に、まずは「おそらくこうではないか」と仮説を立ててみる。そんな仮説思考を巡らせるプロセスを楽しもうって思います。
自分の頭で汗をかく習慣が、結果的に私の知識を深め記憶にとどめ、そして、日々の生活の質を高めてくれていると、私は感じています。
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