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どこで生きるかは、どう生きるか。「移住」と「引っ越し」の違い

人生の中で、私は何度か住む場所を変える経験をしています。進学や就職、転職、転勤が理由です。多くの人は、ライフステージの変化に伴って、住み慣れた街を離れます。そんなとき、私たちは日常的に「引越し」という言葉を使いますが、時折「移住」という言葉を耳にすることもあります。

「引越し」と「移住」

どちらも住む場所を変えることには違いありませんが、この二つの言葉の違いは何かな? 今日はこんなことを考えてみます。



住居の移動か? ライフスタイルの移動か?

私がイメージする最も分かりやすい違いはその目的と要因です。

たとえば、
「通勤に便利な駅の近くに住みたい」
「家族が増えたからもう少し広い部屋に」
「賃貸の更新時期が来たから」 など

引越しは、転勤による遠距離はもちろん、同じ町内や隣の駅への移動も含まれ、生活の基盤となる家を変えることですね。私も400m先に新築マンションができたので、引っ越ししたことがあります。これは移住とは言わないですよね。

一方で移住は、単なる家の移動にとどまらず、都心から自然豊かな地方へ、あるいは日本から海外へ拠点を移すことを「移住」と呼んでいるように思います。

私の友人の例では、セブ島の友人はロンドンに移住しました。都内で公務員をしていた友人はオランダに移住しました。神戸から瀬戸内海の島に移住した友人もいます。

よく海外移住って聞きますね。海外への引越しとはあまり言いませんよね。国内でも、田舎へ移住、離島へ移住とは言うけど、都会へ移住とは聞かない気がしています。

移住は、気候や文化、人間関係など、自分を取り巻く環境そのものを大きく変える移動を指しのだと思います。自然の中でスローライフを送りたいとか、全く異なる文化圏で新しい価値観に感じたいなどというように、生活環境だけでなく、ライフスタイルや生き方そのものをガラリと変えることが目的なのでしょう。

引越しは単なる住居の移動で、移住は人生のステージを変えるライフスタイルの移動って違いのようですね。


外的要因か? 内的要因か?

両者を隔てるさらに深い要因として、なぜそこへ行くのかという意思決定の源泉の違いもありそうです。

引っ越しの多くは、「外的要因」によって引き起こされると思います。最も典型的なのは会社からの転勤命令です。私はほとんどこのパターンでした。一般的には、進学や就職はもちろん、家賃が上がったタイミングとか。自分の生活を適応させるために行う受動的な側面が強いのが特徴。合理的であり、そうせざるを得ないから動くケースと考えられます。

それに対して、移住は極めて「内的要因」の強いアクションです。誰かに命じられたわけでも、今の家に住めなくなったわけでもない。それでも、こういう人生を送りたいとか、あの土地で暮らしてみたいという、自分自身の内側から湧き上がる価値観や渇望に従って能動的に決断するものだと思うんです。

私の引越し歴は10回以上あります。すべて外的要因の引越しであり、移住は一度もありません。すべての理由は、進学、就職、転職、転勤です。

特に転勤は、転勤時期から転勤地まで、社員である自分の意思はゼロで、社命100%です。すべて会社が決めていました。荷物をまとめるたびに、私と家族の人生の主導権を会社が決めているような感覚があったのです。

既存のレールの上を走るための必要性が引っ越しであり、自分自身の意志で全く新しいレールを敷き直す行為が移住って感じの違いかな。

人生の覚悟

外的要因か、内的要因か。この違いは、そのままその先にある覚悟の質と量に直結します。

引っ越しにももちろん労力はかかりますが、それはあくまで、致し方ないものと捉えます。新しい通勤ルートを覚えたり、近所のスーパーを開拓したりと、今までの生活システムを維持するためのマイナーチェンジに過ぎません。

転勤による引越しは、大幅アップデートではありますが、万が一、新しい家の環境が合わなければ、また別の場所に引っ越すことも、会社承認のもと引越し代金から引越し手当まで会社負担で可能でしたので、簡単に割り切れます。

しかし、移住には大きな変革の覚悟が必要です。これまで築き上げてきた人間関係やコミュニティ、そして仕事さえも一度手放し、新しい土地でゼロから根を下ろす必要があります。

自ら選んだ土地で、新しい自分として生きていく。移住には、引っ越しにはない独特の緊張感と、人生に対する強い責任感が伴います。だからこそ、移住という決断の裏にはこの地で生きていくという確固たる覚悟が存在するのです。

もちろん、移住は決して後戻りできないものではありませんし、別の場所に引っ越す、あるいは、別の土地に移住する選択肢も可能ですが、大きな覚悟が必要そうです。

どこで生きるかはどう生きるか

組織の論理や社会のシステムに縛られているうちは、私たちの移動の多くは引っ越しにとどまります。しかし、そこから一歩外に踏み出し、自分自身のウェルビーイングや豊かさを最優先に考えたとき、住む場所の選択は「移住」という能動的なものへと変化していくのでしょう。

「どこで生きるか」を自ら決断することは、「これからどう生きていくか」を宣言することと同義です。

人生の後半戦や、新しい働き方を模索する中で、ただ環境に順応する「引っ越し」から、自分の意志で生きる場所を選ぶ「移住」へと視点を移してみる。それは、自分の人生のハンドルを、再び自分の手に取り戻すための第一歩になるのかもしれませんね。


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