サイゼリヤ、ホーチミン上陸から3か月──“ミラノ風ドリア”と“フルーツサラダ”に見る日系外食のベトナムで新しいかたち。
📣この記事の要約
この記事では、サイゼリヤのベトナム進出をきっかけに、日系飲食チェーンのベトナム市場への進出が活発化している背景を探ります。特に、チェーン店の成長が目覚ましく、ベトナムの飲食市場は急成長を遂げています。現地の消費者は、安定した品質とサービスを提供するチェーン店に魅力を感じ、都市部を中心に需要が増加。サイゼリヤは、日本の味を維持しつつ、ベトナムの食文化に配慮したメニューを提供し、現地でも人気を博しています。この流れに乗り、松屋やロイヤルホールディングスなど他の日本企業も進出を果たし、ベトナム市場での創意工夫を凝らしながら成長を目指しています。今後、さらに多くの企業がベトナム市場に進出し、柔軟なローカライズ戦略が求められる時代が訪れそうです。
こんにちは、海外事業部です。
今年5月にオープンした、日本でもおなじみのファミリーレストラン「サイゼリヤ」のベトナム1号店。
ホーチミン市内の大型ショッピングモール「ギガ・モール」内に誕生し、ジェトロのビジネス短信にも取り上げられるなど、進出当初から大きな注目を集めていました。
そしてこのたび、オープンから約3か月が経過したタイミングで、当社スタッフが改めて現地を訪問。店舗の様子や現地での受け入れられ方を確認する中で、他の日系外食チェーンの展開状況についても改めて見えてくるものがありました。
この記事では、そんなサイゼリヤの事例を起点に、日系飲食チェーンのベトナム進出がなぜ今、活発化しているのか。その背景をジェトロのデータや現地市場の動向とともにひも解きながら、私たちが現地支援の現場で日々感じているリアルな視点も交えてお届けします。
🖊なぜ今、ベトナムなのか?──市場データから見えてくる背景
ここで少し立ち止まって、「なぜ今、日系飲食チェーンがこぞってベトナムに進出しているのか?」という疑問に目を向けてみたいと思います。
前述のジェトロの短信では、サイゼリヤの進出という具体的な動きに加えて、ベトナム飲食市場そのものの力強い成長が背景にあることが示されています。
たとえば、2024年のベトナムの飲食市場全体の規模は、前年比16.6%増の約688兆8,000億ドン(日本円で約3.86兆円)。この数字だけでも十分インパクトがありますが、さらに注目すべきは、チェーン店の売上が前年比21.5%増と、独立型の飲食店(同16.2%増)を大きく上回るペースで成長している点です。
これはつまり、単発の人気店ではなく、標準化されたサービスや味を提供できるチェーンモデルが、ベトナムの消費者にとってより魅力的な選択肢になってきているということを意味しています。
そしてこの傾向は今後も続く見通しです。2024年から2028年にかけてのチェーン業態の年平均成長率(CAGR)は14.0%と予測されており、こちらも独立店の8.7%を大きく引き離しています。都市部を中心に安定したクオリティやブランド体験を求める層が増えている現れとも言えるでしょう。
こうした背景から、サイゼリヤに続き、牛丼チェーンの松屋フーズ、外食大手のロイヤルホールディングスなど、日本を代表する飲食企業が次々とベトナム市場に進出しています。データの裏付けがあるからこそ、進出は「冒険」ではなく、戦略的な「成長投資」として捉えられているのです。
私たちの現場でも、ここ1〜2年でベトナム進出に関するご相談が急増しており、飲食を中心に“消費マーケットを攻めたい”という意識の高まりを肌で感じています。
🖊ミラノ風ドリアとドラゴンフルーツのあいだにあるもの
サイゼリヤのホーチミン1号店には、日本のファンにおなじみのメニューがそのまま登場しています。たとえば「ミラノ風ドリア」や「マルゲリータピザ」などは、日本とほぼ同じラインナップ。価格も6万ドン(約330円)と、手が届きやすい設定です。
でも、それだけじゃないのが面白いところです。
注目したいのは、ベトナムの人々の嗜好や食文化に寄り添った“ローカル向けメニュー”も並んでいること。たとえば、「フルーツサラダ」は、ベトナムでおなじみのドラゴンフルーツやマンゴーなど、南国らしいフルーツをふんだんに盛り込んだ一皿。見た目にも華やかで、現地の人々にとってはどこか親しみのある味わいです。
さらに、あのドリンクバーも導入されていて、これがちょっとした話題に。ベトナムではセルフで好きな飲み物を注げるドリンクバー文化はまだ一般的ではないため、「面白い!」という反応がSNSでもちらほら見られました。
このように、「日本らしさ」を持ち込みつつも、現地の文化や習慣にうまく調和させていくスタイルは、他の日系チェーンでも見られる傾向です。
たとえば…
松屋では、調味料についてはセルフコーナーを設置して、定番の紅生姜や焼肉のタレに加え、ライムや唐辛子など、ベトナムならではの選択肢も用意していたり、
天丼てんや(ロイヤルHD傘下)では、ベトナムで仕入れられる新鮮な野菜を活かし、現地調達の素材を積極的に使ったり。
こうした取り組みは、いわゆる全部日本式ではない、柔軟なローカライズ戦略の好例です。
もちろん、日本のブランド力や味の再現性は大きな武器です。ただ、それをそのまま持ち込むだけでは、異なる文化圏では通用しない場面も出てきます。現地の人たちの“日常”にどう自然に溶け込めるか――その視点こそが、今の進出企業に求められているのかもしれません。
🖊ベトナム進出の最前線から:現地支援の現場で見えてきた変化
私たちは、ベトナムへの進出を検討・実行する日系企業の皆さまを現地でサポートしています。そのなかで、この1〜2年ほどで特に強く感じているのが、飲食や小売といったBtoC業種からの進出相談が増加しているということです。
これまでは、どちらかというと製造業が中心でしたが、最近は「ベトナムの成長する消費市場に直接アプローチしたい」という企業が増えてきています。とりわけ外食チェーンからの問い合わせが目立っており、実際のご支援の場面でも、以下のような課題やニーズが寄せられています。
📌 よく聞く声(論点)の一例:
出店場所の選定
人通りの多さ、ショッピングモールの構造、Zoning(業態の配置バランス)との相性などをどう見極めるか。価格戦略の検討
原価、人件費、為替変動を踏まえたうえで、現地に“受け入れられる価格帯”をどう設定するか。ローカル人材の採用と育成
サービス業に求められる接客意識の共有や、トレーニングの体制づくりに苦労される企業が多い印象です。サプライチェーンの整備
日本の味・品質を維持しながら、現地でどこまで調達や製造を対応すべきかというバランスの取り方。
こうした実務的な課題に向き合う声を聞く中で、私たちが日々感じているのは、「スピード」と「柔軟性」が、ベトナムで事業を進める上での大きなカギになるということです。
ベトナム市場は、成長が速いぶん、変化も激しい。出店計画や価格設定ひとつ取っても、“いま通用することが半年後にはズレてくる”という場面は決して珍しくありません。そうしたスピード感のある現地にどう適応していくか──それを冷静に見極めながら、柔らかく、でも着実に地に足をつけて進めることが求められています。
支援の現場にいる私たちとしても、その「現地の肌感覚」を、進出を検討される皆さまにしっかりとお届けできるよう、日々アップデートを続けています。
🖊今後の展望:日系チェーン“第2波”がいよいよ本格化?
サイゼリヤ、松屋、てんや──このような日本でもよく知られた外食ブランドの進出を皮切りに、ベトナム市場への新たなチャレンジが次々と動き始めています。
現在すでに、複数の企業が市場調査や現地でのテストマーケティングを進めており、ここからさらに数年以内に、“第2の進出ラッシュ”が本格化する可能性も大いにありそうです。
特に、飲食や小売といったBtoC分野では、ブランドの魅力だけでなく、現地での適応力や運営体制づくりが成否を左右する時代に入ってきています。だからこそ、事前の準備や現地情報の把握、そして柔軟な対応力が、これまで以上に問われることになりそうです。
私たちとしても、そうした企業の皆さまのチャレンジを、現場の最前線から支えられる存在でありたいと考えています。
出店計画、サプライチェーン、スタッフ育成、価格設計──どんな課題であっても、「いまのベトナム」と向き合いながら、一緒に答えを見つけていく伴走者でありたい。そう思っています。
ベトナム市場は、まだまだ可能性に満ちたフィールドです。これから挑戦される企業が、一社でも多く現地で根を張り、愛される存在になっていけるよう、私たちも引き続き現地から力強くサポートしていきます。
🖊あなたがホーチミンで食べたい“あの味”は?
日本で慣れ親しんだ味が、遠く離れたベトナム・ホーチミンでどう受け入れられ、どう進化していくのか──。そのプロセスには、単なるグルメの話を超えた、ビジネスとしてのヒントや示唆がたくさん詰まっています。
「いつかベトナムの地で、あの店の味にまた出会えたら…」
そんなふうに思い浮かべるお気に入りの一品、あなたにもありませんか?
“食”を通じてつながる声は、現地の可能性を広げていくきっかけになると思っています。
プロネクサスベトナムでは、飲食業を含む日系企業のベトナム進出を実務面からサポートしています。
進出から現場に根ざした支援を得意としています。飲食業に限らず、ベトナム進出にご関心のある方は、どうぞお気軽にご相談ください!
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