第1話【不登校】ピアノをやめたあの日から
「好きなことをやめて、勉強に専念すれば、きっと成績は上がる」
そう信じて習い事を塾に変えたのに、気づけば子どもは学校に行けなくなっていた――。
多くの親が「どうして?何がいけなかったの?」と悩む場面です。これは、そんな一つのご家庭の体験談です。(全10話)
ピアノから塾へ
小さい頃から音楽が大好きだったAさん。毎日のピアノ練習は楽しみで、発表会で拍手をもらう瞬間が何よりの喜びでした。
手の先まで集中し、音のひとつひとつに心を込める。その姿は家族にとっても誇らしいものでした。
しかし中学生になると、家族の方針が変わります。「まずは勉強優先」と考え、ピアノの月謝は塾へ。Aさんは本当は続けたかったけれど、それは叶わず、塾に通う日々が始まりました。
最初は我慢強く頑張っていたAさん。しかし、塾に行っても成績は上がらず、以前より順位は下がってしまいます。
「塾に行っているのに…どうして?」
焦る両親の声と、大切なものを奪われた現実が、Aさんの心に重くのしかかりました。やがて、学校へ行くことさえもつらくなっていったのです。
家族のタイプの違い
私が相談を受けた頃、Aさんは週の半分ほど学校を休むようになっていました。
母親は「どうしたらいいの?」と悩み、家族全員を七彩占いで見てみました。
すると、Aさんとご両親は性格タイプがまったく違っていたのです。
両親:「自分のやり方で前に進みたいタイプ」
Aさん:「重さを抱え込みやすく、安心できないと動けないタイプ」
真逆のため、どうしてもすれ違ってしまいます。親の「勉強優先」という思いは正しい。でも、Aさんにはそれが重荷になっていたのです。
夜に逃げる本当の理由
不登校になるとよく言われるのが「昼夜逆転を直そう」という言葉。
しかし、生活リズムの問題だけでしょうか。
Aさんの場合は違いました。
朝、家族が出かけていく。
窓を開ければ通学途中の声が聞こえる。
昼には給食を思い出し、
下校時間には友達の声が響く。
家にいても「学校に行っていない自分」を思い知らされます。
だから昼間を避け、夜の世界に逃げる。
それは、心を守るための自然な選択でした。
本当に必要なのは心の安心
生活リズムよりも先に、まず心の健康を取り戻すこと。Aさんの場合、安心できる時間を持つことが、学校復帰への第一歩でした。
「学校に行かないと認めてもらえない」
そう感じる子どもは少なくありません。
安心できるはずの家庭さえ居場所にならない。
だからこそ、昼間を避け、夜に逃げるのです。
もしあなたのお子さんが同じように悩んでいるなら、まずは安心できる時間を作ることを意識してみてください。
小さな一歩を褒めることが、学校復帰への大きな原動力になります。
次回(10/3・金)
第2話「ピアノからの再出発」
安心できる時間が、学校復帰の第一歩になる――Aさんがピアノとどう向き合い、少しずつ笑顔を取り戻す様子をお伝えします。
