大人になっても、世界はまだ広がる
「足半、作ってみたい!」
ワークショップがあると知ったとき、私はちょっとワクワクした。
昨日は、毎月参加している農園マルシェの日。
私はいつものようにアロマのお店を出していたのだけれど、その傍らで「足半」(あしなか)という小さな草履を作るワークショップが開かれていた。
1時間くらいでできると聞いて、それなら出店しながらでも参加できるかな、と軽い気持ちで申し込んだ。
ところが、いざ始めてみると。
暑い。
真夏の屋外で、慣れない縄と格闘しながら、ひたすら手を動かす。
思っていたより、なかなか過酷だった。
そして気づけば、1時間のつもりが3時間。
一緒についてきてくれた長男を待たせ、自分のお店も気にしながら、
「これはなかなか大変なものに参加してしまったぞ」
と、内心ちょっと思っていた。笑
それでも、その時間が面白かったのは、足半を作ることだけが理由ではなかった。
縄のこと。
身体のこと。
歩き方のこと。
作り方を教えてもらいながら聞く話は、私の知らないことばかりだった。
へえ、そうなんだ。
そんな世界があるんだ。
足半を作りに来たはずなのに、その向こうに、知らなかった世界がどんどん見えてくる。
もっと涼しいところで、時間も気にせず、ゆっくり話を聞いてみたかったなぁ。
そんなことを思った。
一緒に参加したのは、私を含めて4人。
みんな初めて会った人たちだった。
最初はそれぞれ、自分の足半を完成させるために手を動かしていたのに。
暑いね。
難しいね。
できた。
そんな時間を一緒に過ごしているうちに、完成するころには、なんだかちょっとした仲間のような気持ちになっていた。
一緒に何かを楽しんだ仲間、というより、
一緒に何かをやり遂げた仲間。
そんな感じのほうが近いかもしれない。
大人になると、いつの間にか自分の知っている世界の中で過ごすことが多くなる。
いつもの仕事。
いつもの暮らし。
いつもの人たち。
でも、ほんの少し「やってみたい」に乗ってみると、その向こうには、自分が知らなかったことを当たり前のように知っている人がいる。
知らなかった考え方がある。
そして、昨日まで知らなかった人と、一緒に笑っている自分がいる。
50歳になった私にも、まだまだ知らない世界がある。
それが、なんだか嬉しかった。
その日、一緒に来ていた長男は、そんな大人たちをどんなふうに見ていたんだろう。
お昼に農園のランチを食べながら、
「すごく健康そうな、添加物ゼロの味がする」
と長男。
「そうだよー。それがいいでしょー」
と私。
夏休み最初の一日。
毎月私が参加している場所には、いろんな大人がいる。
縄のことを知っている人。
農業のことを知っている人。
食べるものを大切にしている人。
それぞれが自分の好きなものや、大切にしているものを持っている。
長男にとっても、
「大人って、いろいろいるんだな」
そんなことを感じる一日になっていたらいいなと思う。
大人になったら、ひとつの世界に決めなくてもいい。
知らない世界を見つけたら、
ちょっと覗いてみる。
「やってみたい」と思ったら、
ちょっと足を踏み入れてみる。
たとえそれが、思っていたよりずっと暑くて、ずっと大変だったとしても。笑
その先で、知らなかったことを知ったり、
昨日まで知らなかった人と笑ったりする。
そんなふうにして、
世界はまだまだ広がっていくのかもしれない。
私の世界も。
そして、これから大人になっていく長男の世界も。
