槍に咲く九十九の花とフォトウォーク
日本で「槍のような山」と言えば北アルプス・槍ヶ岳が有名ですが、
北海道にも槍のように、ひときわ鋭角にそびえる山が存在します。
そしてその槍の穂先には、
非常に貴重な花が咲くと言うのです。
かくして私は野心を胸に、本峰を訪れました。
あの穂先をよじ登り、幻の花をライカで撮ってみたいと。
北海道・芦別岳(あしべつだけ)は標高1726mの山です。

大昔にプレートの移動により押し上げられてできたとされ、
大雪山のような火山とは異なり鋭角な岩峰群で構成された山です。
北海道のマッターホルンとも言われているようです。
槍ヶ岳(3180m)に比べれば低山ですが、
登山開始地点の標高は300mちょっとしかなく
道中もアップダウンがありますので、
累積標高差では富士山吉田口〜富士山頂にも
ひけをとらないキツさを誇ります。

登山口
トラブルさえ無ければ十分日帰りできますので、
前日は麓で仮眠し、朝一で出発しました。
カメラはいつものM11-P、
ではなくライカQ2を持参しました。

ギンリョウソウを発見しました。
光合成をしないため色がなく、別名ユウレイタケとも。

標高1200m辺りから残雪が出てきました。
ここで、担いできた冬靴とアイゼンに換装しました。

藪漕ぎも発生します。
たかが笹と侮るなかれ…
逆向きに大量に生えているので、かなりパワーを使います。
アイゼンで身体やウェアを切らないよう、慎重にかき分けました。

山頂が見えてきました。
画像からは伝わりにくいかと思いますが、
山頂直下はかなりの急傾斜となっています。

麓から3時間ほど歩いて山頂直下に差し掛かりました。
山頂直下、つまり槍の穂先にあたります。
かなりの斜度を誇るため、
登りも降りも非常に危険な区間となります。
登山道はこの大雪渓の脇から入る形のため、
滑落すると登山コースを外れる事になり、
遭難リスクが高いエリアです。
ここで再びアイゼン、ピッケル、ヘルメット等、
担いできた冬装備に換装しました。

険しい登攀を越えて、なんとか芦別岳の山頂に到着しました。
ダウンジャケットを羽織って休憩し、岩場付近を散策しました。

ありました。ツクモグサ。
もともと大陸と地続きだった日本列島では数少ない、日本の固有種です。
本州では八ヶ岳(+白馬岳)、後は北海道のごく一部の山域にのみ自生します。
絶滅危惧種にも指定されています。
Leica Q2はマクロ撮影ができるので非常に助かります。
AFも活用できるようですが、どうもうまく合わなかったので、
すべてMFに切り替えて撮影しています。
MFでもアシスト機能を使えば割と楽に合わせられました。
ただしフルサイズセンサーでは被写界深度が狭くなるため、
合焦範囲には気を遣いました。


氷河期の生き残りと言われ、
全体にフワフワとした細かな繊毛をまとっています。


もう少し待って、雪が溶けてから来れば
良いじゃないか(安全じゃないか)とお思いかもしれませんが
なんとこの花、雪解けの頃にはとっくに終わってしまいます。
なのでチャンスは今しかないという訳です。

撮影を終えて、急斜面の雪渓をアイゼン・ピッケルで慎重に降下しました。
怖くて撮れませんでしたが、上から覗くとほぼ崖でした。


シラネアオイ
この花も日本の固有種です

芦別の森とエゾツツジ


ヤマザクラ
山では人知れず桜が咲いていました。

