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「なれるわけない」から始まった



私が看護師を目指した1番最初のきっかけは、
子どもの入院だった。

病院で働く看護師さんたちを見て、

「かっこいいな」
「私もこんなふうになれたらな」
そう思った。

でも、それと同時に

「……なれるわけないか」
って思ってた。

その頃の私は、
まさか自分が看護師を目指すなんて、
想像もしていなかった。



そんなある日。
雪が降る寒い日だった。

子どもを病院に連れて行った帰り道、
道端に人が倒れているのが見えた。

うつ伏せで倒れている高齢の男性。

驚いたことに、
車は何台もその横を通り過ぎていく。

私は急いで車を止めた。
そして、その人のところへ駆け寄った。

鼻血と鼻水が出ていた。
「大丈夫ですか?」
反応を確認しながら、
とにかく寒さから守らないとと思った。

顔の下にクッションを入れて、
自分のダウンジャケットを脱いで、男性にかけた。

そして救急車が来るまで、

「もう大丈夫やけんね」
「もう大丈夫やけんね」

何度も声をかけ続けた。



今思えば、
あのときの私は何もできなかった。
専門的な知識もなかった。
できることなんて、本当に限られていた。

それでも、
「この人をこのままにしておけない」
それだけだった。



そして、その後離婚した。

人生が大きく変わった。

3人の子どもを抱えて、
これからどうやって生きていこう。
そう考えたとき、ふと思った。

「やってみようかな」

ずっと心のどこかにあった、

「看護師になれたらな」
という気持ち。
今なら挑戦できるかもしれない。


そこから私は、
准看護学科へ進学した。


准看護師の資格を取ってからは、
第二看護学科が休みの日に、病棟でアルバイトをした。


学校で学んだことを、
実際の患者さんを通して経験できる。
手技も少しずつ身についていく。
昨日できなかったことが、
今日はできる。
 
そんな感覚が嬉しかった。

「もっと知りたい」
「もっとできるようになりたい」

そう思うようになった。



振り返ってみると、

子どもの入院で看護師に憧れて、

雪の日に倒れていた人を助けて、

離婚をきっかけに、

「私も挑戦してみよう」
と思った。

全部、その時は別々の出来事だった。
でも今思えば、
全部つながっていたのかもしれない。

「なれるわけない」

そう思っていた私が、
少しずつ、
「もしかしたら、なれるかもしれない」

に変わっていった。

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