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第38話「賛否両論のランチ計画」

私はママ友達に、息継ぎなくこの日常を面白可笑しく話す癖があるようだ。
この日常は不幸じゃない、ユニークだと頭にインプットするかのように。
毎日のように起こるハプニング、ネタは尽きることがない。

友達は皆大爆笑して聞いてくれるけど、口を揃えて言う。
「私なら無理。生きていけないわ〜」「なかなか壮絶だけど…」「どんだけ寛大なの!」「絶対耐えられない」と。
あきちゃん(仮名)が話すと、めちゃくちゃ大変な話も大変に聴こえないからすごいね!偉いよ!と言ってもらうことが救いなのかもしれない。
自然に会話してるつもりだったけど、潜在的には自分に「大丈夫、間違ってなんかない」と、不安を払拭しているんだろうな。

だけど、誰もが賛成してくれたわけじゃない。
めちゃくちゃ嫌な顔をされたり、否定されたり、批判されたり、嫌味を言われたりすることもしばしばある。
なかでもこのランチ計画は特にそう。
「学校も行かない、寝てるだけ、ゲームしてるだけの息子に美味しいものを食べさせ歩くなんて」「外食ばかりでお金の無駄」と。
確かにそうだ。

それでも、そんな賛否両論ある“ランチ行きまくり計画”だけど、息子にはすごく大きな影響があった。
息子は地元中の名店をくまなく調べだした(その後、それはどんどん進化して日本中の隠れた名店を調べ上げることも趣味になる)。
そして、調べたお店を夢中で語り出すようになった。

以前から自分の好きなことを話しだすと止まらない息子。
こうなると、まわりの状況なんてそっちのけで、自分の知識を相手にフルに伝え終わるまで止まらない。
初めは私だけに話していたが、日を追うごとに旦那、兄弟、義父母、叔母にも夢中で話すようになった。
誰とも会話しなかった毎日が嘘のように。

私はすごく嬉しかった。
でも、この息子の行動は一般的には「ウザい」という言葉が当てはまるようだ。
最初はみんなニコニコ聞いているけど、それも数十分が限界。
最終的に旦那は怒鳴り出し、義父母は否定しはじめ、「怠け者の道楽だ」「働いてから物を言え」「誰のおかげで生活できてると思ってんだ」「学校も行かずにゲームばかりで贅沢な」――まぁ、色々二人で怒鳴られました。

気持ちはすごいわかる。本当にそう。
でも、毎日長男と戦い、暗闇の中をぐるぐるループし、少しの灯火が見えていた私の脳みそは、そんな息子の話し口調ですら愛おしく、明るい未来につながる細い糸のように思えた。

だって、夜中の暗闇でゲームをして、また夕方5時すぎまで寝て、食事もとらず真っ青な顔で、私に叩かれても怒鳴られても抜け殻のようだった我が子が、血が通い、生き生きと好きなことを熱く語っているんだから。

好きなことのパワーはすごい。
この子は“贅沢している”なんて思っていない。
ただ、心のままに、自分が大好きで幸せに感じることを、まわりにも共有したいだけなんだ。

次回予告

夕飯の時間、久々に家族で囲んだ食卓。
ほんの小さなきっかけが、あの“事件”の始まりだった。

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