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久しぶりのヨーロッパ一人旅で、僕はサグラダファミリアより先に体力の限界を見た

久しぶりのヨーロッパ一人旅で、僕はサグラダファミリアより先に体力の限界を見た



今回、3週間のスペイン・イタリア旅行に行くことにした。

大きな目的は、スペインに住む友達に会いに行くことだった。

その友達とは、アイルランドに留学していた時代に出会った。

同じホームステイ先で、半年間一緒に過ごした。

朝ごはんを食べたり、学校へ行ったり、どうでもいい話をしたり、たまに真面目な話をしたり。

海外での経験を振り返ると、いろんな人との出会いがあった。

でも、その中でも彼との出会いは、自分にとってかなり大きかった。

海外で出会った人の中で、一番大きな出会いだったと思う。

その友達に、3年ぶりに会いに行く。

それだけ聞くと、かなり楽しそうな旅である。

実際、楽しみだった。

でも同時に、不安もあった。

久しぶりに海外へ一人で行く。

しかも、ヨーロッパ。

この「しかも、ヨーロッパ」という言葉には、僕の中でなぜか少し重みがある。

遠い。
高い。
スリが多そう。
石畳でキャリーケースが壊れそう。
そして何より、なんとなく緊張する。

海外経験がまったくないわけではない。

ワーホリもした。
留学もした。
それなりに一人で動いてきた。

でも、久しぶりの一人海外は、やっぱり少し怖かった。

人間、経験があるからといって、毎回堂々とできるわけではない。

むしろ経験がある分、面倒なことも少し想像できてしまう。

空港で迷うかもしれない。
荷物がなくなるかもしれない。
時差ぼけで終わるかもしれない。
どこかでぼったくられるかもしれない。

想像力が、旅の前だけ異常に働く。

普段の仕事でもそれくらい働いてほしい。

まずはバルセロナで3日間の一人旅


最初の目的地は、バルセロナだった。

ここで3日間、一人で過ごす。

友達に会う前の、ひとり時間。

今回のバルセロナで一番見たかったのは、サグラダファミリアだった。

ずっと名前は知っていた。

写真でも何度も見たことがある。

でも、実際に見るのは初めてだった。

現地に向かう途中から、少しずつ気持ちが高まっていった。

バルセロナの街を歩いていると、突然あの建物が視界に入ってくる。

その瞬間、やっぱり少し息をのんだ。

大きい。

とにかく大きい。

写真で見ていたはずなのに、実物は全然違った。

建物というより、何か巨大な生き物のようにも見えた。

完成している部分と、まだつくられている途中の部分が同じ場所にある。

その感じもよかった。

世界的な観光名所なのに、まだ途中。

ずっと完成に向かって動いている。

その時間の長さに、少し圧倒された。

中に入ると、ステンドグラスが本当にきれいだった。

光が色を持って、空間の中に入ってくる。

赤や青や黄色の光が、石の壁や床に落ちている。

教会の中なのに、どこか森の中にいるような感じもあった。

大きさ。
光。
細かい装飾。
空間の重み。

何をとっても、見る価値があった。

これはたしかに、バルセロナに来たら見るべき場所だと思った。

そこまではよかった。

本当によかった。


ただ、問題は僕の体だった。

スペインは暑い。そして僕は思ったより若くなかった

スペインは暑かった。

日差しが強い。

ただ気温が高いだけではない。

上からまっすぐ焼かれている感じがある。

日本の夏とはまた違う。

空気は少し乾いているのに、日差しだけが容赦なく強い。

そして、そこに時差ぼけが乗ってくる。

これがなかなかきつかった。

学生時代の自分なら、多少寝不足でも動けた気がする。

朝から観光して、昼も歩いて、夜も出かけて、次の日も普通に起きる。

そういうことができた気がする。

でも今回は違った。

体がついてこない。

頭では「せっかくバルセロナに来たんだから動かなきゃ」と思っている。

でも体は、

「すみません、こちらの予定は聞いておりません」

という感じだった。

完全に別部署である。

僕は自分の体力を、少し過信していた。

いや、かなり過信していた。

久しぶりのヨーロッパ。
一人旅。
サグラダファミリア。
スペイン料理。

気持ちだけは前のめりだった。

でも、体のキャパはちゃんと現実的だった。

歩く。
暑い。
眠い。
また歩く。
また暑い。
何か食べる。
少し休む。
でもまだ眠い。

これを繰り返しているうちに、どんどん疲れがたまっていった。

旅に来ているのに、途中から自分の体力管理がメインイベントみたいになっていた。

サグラダファミリアより先に、僕は自分の限界を見学していた。

1500円のマンゴースムージーに命を救われる

あまりにも暑くて、途中でカフェに入った。

もう観光どころではなかった。

「ちょっと休もう」ではない。

「ここで休まないとまずい」だった。

軽い熱中症みたいな感じもあったと思う。

頭がぼんやりして、体が重い。

歩きたい気持ちはあるのに、足がまったく乗り気ではない。

仕方なく、マンゴースムージーを頼んだ。

値段を見て、少し目が覚めた。

1500円くらいした。

高すぎる。

マンゴーを飲んでいるのか、観光地価格を飲んでいるのか、途中からよくわからなくなった。

でも、しょうがない。

暑すぎた。

あの時の僕に必要だったのは、節約ではなく冷たい液体だった。

普段なら、1500円のスムージーを前に少し考える。

いや、かなり考える。

でもその時は、ほぼ救急措置だった。

運ばれてきたマンゴースムージーは、ちゃんとおいしかった。

冷たくて、甘くて、体にしみた。

「高いけど、今は許す」

心の中でそう言いながら飲んだ。

気づいたら、そのカフェに3時間いた。

3時間。

もはや休憩ではない。

一時避難である。

バルセロナまで来て、僕はカフェの椅子に根を張っていた。

観光客というより、弱った植物だった。

でも、あの3時間がなかったら、その後ほんとうに動けなかったと思う。

旅では、予定通りに動くことより、ちゃんと止まることの方が大事な時がある。

そのことを、1500円のマンゴースムージーが教えてくれた。

高い授業料だった。

パエリアは三日連続で食べた

とはいえ、料理はおいしかった。

スペインに来たら、やっぱりパエリアは食べたい。

そう思っていた。

結果、三日間連続でパエリアを食べた。

やりすぎである。

でも、仕方ない。

日本から来た観光客の心には、スペイン=パエリアという、かなり強めの思い込みがある。

スペインの人からしたら、

「他にもいろいろあるよ」

と思うかもしれない。

でも、こちらは久しぶりのスペインである。

まずはパエリアに行かせてほしい。

ただ、ヨーロッパの観光地でご飯を食べる時には、少し警戒もしていた。

ぼったくられたくない。

この気持ちはかなり強かった。

そのため、Googleマップで入念に店を調べた。

レビューを見る。
写真を見る。
メニューを見る。
値段を見る。
低評価のコメントまで見る。

もはや食事というより、軽い捜査である。

「このパエリアは信頼できるのか」

そんな目でスマホを見ていた。

旅先での僕は、観光客というより、飲食店の治安を調べる小さな探偵だった。

そのおかげもあって、大きく外すことはなかった。

パエリアはおいしかった。

魚介のうまみもあるし、米の感じもいい。

疲れた体に、ちゃんとスペインが入ってくる感じがした。

ただ、三日連続で食べると、さすがに少し冷静になる。

三日目には、

「僕は今、パエリアを食べたいのか。それともスペインに来た自分を確認するために食べているのか」

みたいなことを考え始めていた。

めんどくさい観光客である。

サグラダファミリアには感動した。でも、少し怖くもなった

サグラダファミリアは、本当にすごかった。

これは間違いない。

行ってよかった。

見られてよかった。

でも同時に、少しだけ自分に対して寂しさもあった。

昔の自分なら、もっと大きく感動していた気がする。

初めて海外に行った時。
初めてヨーロッパの街並みを見た時。
初めて歴史ある建物を目の前にした時。

あの頃は、見るもの全部にもっと反応していた。

街を歩くだけで楽しかった。
古い建物を見るだけで興奮した。
知らない言語が聞こえるだけで、海外に来た実感があった。

でも今回は、サグラダファミリアを見ても、心のどこかに少し冷静な自分がいた。

もちろん感動はした。

でも、その感動の温度が、昔より少し低い気がした。

疲れていたからかもしれない。

暑さと時差ぼけで、感受性が節電モードに入っていた可能性もある。

海外経験を重ねて、少し慣れてしまったのかもしれない。

あるいは、ただ年齢を重ねただけなのかもしれない。

理由はよくわからない。

でも、

「あれ、昔の自分ならもっとワクワクしていたのに」

と思ってしまった。

それが少し悲しかった。

僕はこれから何にワクワクするんだろう

バルセロナの街を歩きながら、そんなことを考えていた。

これから自分は、どこに行けばワクワクするのだろう。

何を見れば、心が大きく動くのだろう。

世界遺産を見ても、すごい建築を見ても、昔ほど反応しない自分がいる。

これは疲れなのか。

慣れなのか。

それとも、自分の興味が少し変わったのか。

答えは出なかった。

ただ、一人旅の怖いところは、こういう問いが全部自分に返ってくることだ。

誰かと一緒なら、

「すごいね」

「暑いね」

「何食べる?」

と言っていればいい。

でも一人だと、会話の相手が自分しかいない。

結果、僕はバルセロナの街を歩きながら、ひとりでぶつぶつ考えていた。

たぶん、はたから見たら少し危ない人だったと思う。

でも、旅行中の一人ごとは、わりと必要な行為である。

頭の中にたまった感情を、少し外に出さないと詰まってしまう。

サグラダファミリアを見て感動した。

でも、昔ほどのワクワクを感じられない自分もいた。

スペイン料理はおいしい。

でも、体は普通に疲れている。

友達に会えるのは楽しみ。

でも、久しぶりの海外一人旅には不安もある。

その全部が混ざったまま、僕のスペイン旅は始まった。

旅は、いつもきれいな感情だけでできているわけではない。

期待もある。

不安もある。

感動もある。

疲労もある。

そして、パエリア三日連続という判断力の偏りもある。

バルセロナでの三日間は、まさにそんな時間だった。

次に書くのは、バルセロナでまさかの再会をした話だ。

しかも場所は、20人で寝泊まりするホステル。

バイロンベイでも20人部屋に泊まっていたのに、バルセロナでもまた20人部屋。

僕はどうやら、海外に来ると二段ベッドに呼ばれる体質らしい。

サグラダファミリアの余韻と、暑さと、1500円のマンゴースムージーを抱えたまま、バルセロナのホステル生活が始まった。

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