「課題の分離」は、相手を突き放すためのものではない #アドラー心理学 #過去記事リサイクル
アドラー心理学を学ぶと、必ずといっていいほど出てくる言葉があります。
それが、『課題の分離』です。
『課題の分離』とは、簡単にいえば、
「これは誰が最終的に引き受ける課題なのか」を見極めること
です。
たとえば、子どもが勉強しないとき。
親は心配になって、
「早く勉強しなさい」
「そんなことで将来どうするの」
「お母さんが予定を立ててあげる」
と言いたくなるかもしれません。
でも、実際に勉強するかどうかを決め、その結果を引き受けるのは子どもです。
つまり、勉強することは子どもの課題です。
一方で、
「勉強しやすい環境を整える」
「困ったときに相談に乗る」
「親として必要な情報を伝える」
といったことは、親の課題です。
このように、
自分が責任を持つ部分と、相手が責任を持つ部分を分けること
が、課題の分離です。
✨️課題の分離は「何もしないこと」ではない
課題の分離という言葉を聞くと、
「相手のことには口を出さない」
「助けを求められても放っておく」
「自分のことだけ考えて生きる」
という、少し冷たい印象を持つ人もいるかもしれません。
しかし、本来の課題の分離は、相手を見捨てるための考え方ではありません。
むしろ、
相手には、自分で考え、選び、行動する力がある
と信じるための考え方です。
先回りして答えを与えたり、代わりに問題を解決したりすることは、一見すると親切に見えます。
けれど、それを続けていると、相手が自分で考える機会を奪ってしまうことがあります。
「あなたにはできないだろうから、私がやってあげる」
という援助は、知らないうちに相手の可能性を否定することにもなりかねません。
課題を分けることは、相手を遠ざけることではありません。
相手の人生を相手に返すことなのです。
✨️誰の課題かを見分ける方法
誰の課題なのか迷ったときは、次のように考えてみてください。
その選択の結果を、最終的に誰が引き受けるのか。
その結果を引き受ける人が、その課題の持ち主です。
たとえば、友人から転職について相談されたとします。
・転職先を調べる。
・自分の経験を伝える。
・話を聞く。
これらは、あなたが協力できることです。
しかし、
・転職するかどうかを決めること。
・どの会社を選ぶかを決めること。
・その結果を引き受けること。
これは友人の課題です。
いくら心配でも、代わりに決めることはできません。
だからこそ、
「私はこう思うよ」
「必要なら一緒に整理しよう」
「最後に決めるのはあなたでいい」
と伝えることが大切です。
✨️相手の課題を「共同の課題」にする
課題を分離したからといって、相手の問題に一切関わってはいけないわけではありません。
相手が一人では難しいと感じ、助けを求めてきたときには、話し合いによって共同の課題にすることができます。
ただし、勝手に共同の課題にしてはいけません。
大切なのは、相手の意思を確認することです。
たとえば、
「手伝えることはある?」
「一緒に考えてみようか?」
「話を聞くだけがいい? それとも意見も伝えたほうがいい?」
と尋ねます。
相手が「手伝ってほしい」と望み、自分も協力できるのであれば、二人で取り組めばいいのです。
このときも、課題の持ち主が変わるわけではありません。
転職するのは本人です。
勉強するのは子どもです。
人間関係を修復するのは、その当事者です。
協力者は、あくまでも支える立場です。
相手の代わりに決めたり、行動したり、責任を背負ったりするのではありません。
✨️手を貸すことと、代わりに背負うことは違う
相手を助けるときに、覚えておきたい言葉があります。
手を貸しても、人生まで背負わない。
相手が困っていると、つい何とかしてあげたくなります。
しかし、毎回答えを教えたり、失敗しないように先回りしたりすると、相手が援助に依存するようになるかもしれません。
また、助ける側も、
「自分が何とかしなければならない」
「相手が失敗したら自分の責任だ」
と苦しくなってしまいます。
そんなときは、次の三つを確認してみてください。
相手は本当に助けを求めているか
自分にできる範囲はどこまでか
最後の判断を相手に返しているか
この三つが守られていれば、援助は支配ではなく、協力になります。
✨️今日から使える三つの言葉
課題の分離は、考え方だけを覚えても、実際の人間関係では使いにくいかもしれません。
そこで、今日から使える言葉を三つ紹介します。
1.「あなたはどうしたい?」
すぐに答えや助言を与えるのではなく、まず本人の考えを確認します。
相手が自分の課題について考えるきっかけになります。
2.「私にできることはある?」
助けるか、助けないかを自分だけで決めず、相手が必要としている援助を尋ねます。
話を聞いてほしいだけなのか、具体的な手伝いが必要なのかも確認できます。
3.「最後に決めるのはあなただよ」
意見や情報を伝えたあと、選択を相手に返します。
これは突き放す言葉ではありません。
あなたの選択する力を信じている
というメッセージです。
✨️課題の分離は、人間関係に境界線を引くこと
課題の分離とは、
「あなたのことは知りません」
「勝手にしてください」
と突き放すことではありません。
また、
「困っているなら、すべて私が解決します」
と背負い込むことでもありません。
相手の課題と自分の課題を分けながら、必要なときには相談し、協力する。
それでも最後の選択と責任は、課題の持ち主に返す。
そのような関係が、アドラー心理学のいう共同体感覚にもつながっていくのだと思います。
課題の分離は、人とのつながりを切るためのものではありません。
自分の人生も相手の人生も大切にするための、やさしい境界線なのです。
2022/11/13 課題の分離 ~そこに愛はあるんか? のリライト
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あとがき
ここは、
「迷いの中にいるあなたが、安心して戻ってこられる場所」
としてつくりました。
焦らなくていい。
比べなくていい。
あなたのペースで、大丈夫です。
心が整えば、人生はまた動き出します。
その一歩に、静かに寄り添えたら嬉しいです。
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