問題人物を放置する会社の末路――辞めていくのは、いつもまともな人から
職場に一人、周囲を振り回す人物がいる。自分の失敗は決して認めないのに、他人の些細なミスには異常に執着する。気に入らない相手を無視し、陰で悪評を広め、問題が起きると責任を誰かに押しつける。
周囲が上司に相談しても、「どこの職場にも合わない人はいる」「お互いさまではないか」「大人なのだから、うまくやってほしい」と片づけられる。会社としては穏便に済ませたつもりかもしれない。しかし、問題人物を放置した瞬間から、職場は静かに壊れ始めている。
最初に辞めるのは、問題を起こす人ではない
問題人物がいる職場で、最初に辞めていくのは加害的な言動を繰り返す本人ではない。責任感があり、仕事を真面目にこなし、周囲との関係を大切にしてきた人から離れていく。
まともな人ほど、最初は我慢する。「自分にも原因があるのかもしれない」「もう少し頑張れば関係が改善するかもしれない」と考えるからだ。それでも状況が変わらず、会社に相談しても動いてもらえなければ、やがて理解する。
この会社には、自分を守る意思がないのだと。
その結果、会社が残したかった人材が辞め、会社が対処すべきだった人物だけが残る。これは偶然ではない。放置という経営判断によって、まともな人が職場から選別されているのである。
「様子を見る」は、問題人物を支持することになる
会社はよく「もう少し様子を見よう」と言う。しかし、被害を受けている側にとって、その期間も嫌がらせや威圧、無視、責任転嫁は続いている。
会社が何もしなければ、問題人物は「自分のやり方は認められた」と受け取る。そして行動は少しずつエスカレートしていく。一方、周囲の社員は「相談しても無駄だ」「下手に声を上げると自分が狙われる」と学習し、何も言わなくなる。
相談がなくなったからといって、問題が解決したわけではない。社員が会社を見限り、黙っただけである。
会社が中立を装って何もしないことは、中立ではない。結果として、声が大きく攻撃的な側に職場の主導権を渡すことになる。
評価される人と、排除される人が逆転する
問題人物は、上司の前では協力的で有能に見えることがある。自分に不利な事実は隠し、うまくいった仕事は自分の成果として話し、失敗は部下や同僚の責任として報告するからだ。
そのため、現場を詳しく見ていない管理職ほど、「あの人は仕事ができる」「周囲が神経質なのではないか」と誤解しやすい。反対に、被害を訴えた人は「人間関係に問題がある人」「不満の多い人」と評価されてしまう。
こうして、攻撃する人が守られ、耐えてきた人が問題人物として扱われる。職場の評価基準が完全に逆転してしまうのである。
この状態になると、社員は仕事の質よりも、問題人物に嫌われないことを優先し始める。正しい意見を言う人は減り、顔色をうかがう人ばかりが残る。当然、新しい提案も改善も生まれなくなる。
やがて会社は、目に見える損失を抱える
問題人物を放置する代償は、人間関係の悪化だけではない。退職者が増えれば、採用費や教育費が繰り返し発生する。残された社員の負担が増え、ミスや欠勤、休職も起こりやすくなる。
新人を採用しても、職場の異常さに気づいて短期間で辞めていく。そのたびに会社は「最近の若者は我慢が足りない」「なぜか人が定着しない」と首をかしげる。
しかし、人が定着しないのには理由がある。問題人物がいるからだけではない。その人物を何年も放置し続ける会社に、社員が希望を持てなくなるからである。
問題人物一人を守ったつもりが、複数の社員を失い、生産性を落とし、採用の評判まで悪くする。会社にとって、これほど高くつく「見て見ぬふり」はない。
本当に必要なのは、性格ではなく行動を見ること
会社が確認すべきなのは、「どちらの性格が良いか」ではない。無視、威圧、侮辱、責任転嫁、情報の遮断、過度な叱責など、業務上どのような行動が起きているかである。
相談者と相手の双方から話を聞き、メールやチャット、業務記録などを確認する。相談した人が不利益を受けないように守り、問題行動には明確な注意と改善期限を設ける。必要なら配置転換や懲戒も検討する。
ここまでして、ようやく「会社として対応した」と言える。「仲良くしてください」と被害者に我慢を求めるだけでは、対応とは呼べない。
自分が壊れるまで、会社に付き合う必要はない
もし何度相談しても会社が動かず、体調や生活にまで影響が出ているなら、離れることは逃げではない。自分を守るための避難である。
一人の社員が、会社の体質まで変えることは簡単ではない。どれほど正しく説明しても、会社側に問題を直す意思がなければ、話は前に進まない。自分の健康や人生を差し出してまで、その会社が変わるのを待つ必要はない。
問題人物を放置した会社に、問題人物だけが残っていくのは当然である。会社が守るべき人を守らず、対処すべき人を放置してきた結果だからだ。
人が次々に辞めていく職場では、退職者の根性を疑う前に、居座り続けている人物と、それを守り続けている会社の姿勢を見直した方がいい。
会社が壊れるとき、大きな音がするとは限らない。優秀な人が一人ずつ黙って去り、誰も本当のことを言わなくなったとき、すでに崩壊は始まっている。
職場の悩みを一人で抱えている方へ
社内には相談しづらい、家族や友人にも心配をかけたくないという方は、第三者に状況を話すだけでも考えを整理しやすくなります。
臨床心理士などのカウンセラーが在籍するオンライン相談サービス「Gift」もあります。今の職場に残るか、距離を置くか、退職に向けて動くか。結論を急がず、自分の心身を守る選択を考えるために利用できます。
※本記事にはPRを含みます。
いいなと思ったら応援しよう!
サイコパスや自己愛性モラハラに壊されそうになった心を、言葉ですくい上げる場所でありたいと思っています。共感してくださった方からのサポートは、次の誰かの「気づき」につながる力になります。