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くちなしの花に誘われていく先は…

くちなしの甘く重めの薫りに
身を包まれて,のががたい,そんな思いになりました.
思わず,立ちすくんでしまいます.

同時に,
くちなしの世界(異世界?)に取り込まれそうになって,
ちょっと怖くなりました.

過去や知っている世界にいざなわれるというより,
いまだに知らない世界に連れていかれてしまうかのような
感じでしょうか.

『あさきゆめみし』(大和,2001)では,
くちなしの薫りの漂うところ,物の怪に取り込まれてしまうかのような六条御息所が描かれます.物の怪は,くちなしの薫りのかげに身を潜めているのかもしれません.あるいは,くちなしの薫りが自分の,制御しているよこしまか何かの精神性を解放させてしまう「鍵」か何かなのでしょうか.

強く,甘く,重い薫りにくらくらとします.

でも,不思議なもので,
好んで,繰り返し,くちなしの薫りを
身にまといたくもなります.

怖くもあり,それでものぞき見たい自分の心性本当の自分のこころ
そこにあるかのようです.

このアンビバレントな気持ちは何なのでしょう.

「くちなしマジック」なのかもしれません.
「魔」なのでしょうか.
知らなかったもう一人に自分を垣間見る「」でしょうか.


未然未遂のわが罪とがの匂うらん梔子くちなしひとつ咲きいでにけり

梔子くちなし白花びゃくげよごるるかなしみに梅雨の晴れ間の風におい過ぐ

(馬場,1996)

--references--
馬場あき子.(1996).ふぶき浜.In 馬場あき子全集(第2巻:歌集㊁,pp.85-161).三一書房.
大和和紀.(2001).あさきゆめみし(①).講談社(講談社漫画文庫).


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