【脳卒中後遺症】歩行時の大腿部の筋の働きと脳卒中後の歩行への影響
1.歩行時の大腿部の筋の働き
歩行には大腿部の筋肉が重要な役割を果たします。特に、大腿四頭筋、ハムストリングス、内転筋群、大腿筋膜張筋が関与し、それぞれが異なるフェーズで歩行を支えています。
(1) 大腿四頭筋(Quadriceps)
役割: 膝の伸展と股関節の屈曲をサポート
歩行中の働き
初期接地: 足が地面に接触する際に、膝関節を安定させる。
立脚中期: 体重を支えながら膝を制御し、過度な屈曲を防ぐ。
遊脚期: 足を前に振り出す際に股関節屈曲を補助。
(2) ハムストリングス(Hamstrings)
役割: 股関節の伸展と膝の屈曲をサポート
歩行中の働き
立脚終期: 股関節を伸展し、次の歩行へと推進力を生み出す。
遊脚終期: 膝を適度に屈曲し、踵の接地をスムーズにする。
(3) 内転筋群(Adductor Muscles)
役割: 股関節の安定化と歩行時の体幹制御
歩行中の働き
立脚期: 片足立ち時に骨盤の安定を助ける。
遊脚期: 足を真っ直ぐ前に振り出す動作をサポート。
(4) 大腿筋膜張筋(Tensor Fasciae Latae)
役割: 股関節の外転と膝の安定化
歩行中の働き
片脚支持期: 骨盤を安定させ、左右へのふらつきを防ぐ。
2.脳卒中後に大腿部の筋力低下があると起こる歩行異常
脳卒中後、麻痺側の大腿部の筋力が低下すると、以下のような異常歩行が見られます。
(1) 反張膝歩行(Genu Recurvatum Gait)
特徴: 立脚期で膝が過剰に伸展し、後方へ反り返る。
原因: 大腿四頭筋の筋力低下により、膝関節を適切に制御できない。
影響: 関節への負担が増加し、痛みや歩行不安定を引き起こす。
(2) 分回し歩行(Circumduction Gait)
特徴: 麻痺側の脚を大きく外側へ回しながら振り出す。
原因: ハムストリングスや股関節屈筋の筋力低下により、足をスムーズに前に出せない。
影響: 余計なエネルギーを消費し、歩行が非効率になる。努力性の振りだしにより痙性が上がり易く麻痺側上肢の機能低下の原因となる。
(3)膝折れ歩行(Knee buckling)
特徴:麻痺側立脚期で膝が過度に屈曲してしまう。
原因:大腿四頭筋の筋力低下により膝を伸展できない。
影響:急な膝折れではバランスを崩し易くなる。沈み込む様な歩行では体幹が麻痺側へ傾き易くなり安定性が下がることで痙性も上がってしまう。
3.まとめ
脳卒中後の歩行改善には、大腿部の筋力強化が不可欠です。
⭕️大腿四頭筋は膝の安定に重要。
⭕️ハムストリングスは推進力を向上。
⭕️内転筋と大腿筋膜張筋は骨盤の安定に関与。
非麻痺側が過度に頑張ってしまう動作パターンから脱却することが歩行改善のカギになります。
適切な指導を受けてリハビリを継続し、安全でスムーズな歩行を目指しましょう!
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