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STがいない特養で、PTができる“飲み込みへの配慮”とは

はじめに


「誤嚥が心配なんですけど、PTさんって飲み込みも診れるんですか?」

特養で働く中で、こう聞かれることがあります。
ST(言語聴覚士)がいない環境で、食事・飲み込みのリスク対応をPTや看護師、介護士で分担している現場は少なくありません。

理学療法士の立場で、どこまで関われるのか。
今日は、**“PTだからこそできる飲み込みへの視点”**について書いてみたいと思います。


1. 姿勢調整は、PTの専門領域


ST不在の現場でまず求められるのが「誤嚥しにくい姿勢」の調整です。
特に注意しているのは以下の点:
• 骨盤後傾で咽頭が開きすぎていないか
• 顎が上がって気道が開いていないか
• 頚部や体幹の側屈・回旋が左右どちらかに偏っていないか

このような姿勢の影響が、嚥下機能に“物理的に”悪影響を与えることは文献的にも明らかです。
椅子や車椅子のクッション、テーブルの高さ、座面の角度調整を通して、安全な食事姿勢を作ることが、PTとして最も重要な支援の一つになります。


2. 嚥下だけでなく、“食べる”全体の機能に注目

PTは「運動・動作の専門職」として、**咀嚼や嚥下に必要な筋機能の一部(体幹、頚部、顎、肩周囲)**の状態をチェックできます。

例えば:
• 食前・食後の体幹や頸部の疲労感
• 頚部前屈が困難な人へのテーブル位置調整
• 食後すぐに声が湿声になる人の観察と記録共有
• 体調不良時に姿勢が崩れる傾向の見える化

これらの評価と記録が、ST不在でもリスクの“前兆”を捉えるヒントになります。


3. 多職種への共有が“事故を防ぐ鍵”


PTが「これ危ないかも」と気づいても、それを誰にも伝えなければ意味がありません。
だからこそ、以下のような動きを意識しています。
• 「この姿勢だと飲み込みにくいかも」と介護士へ声かけ
• 経口再開時に、看護師と一緒に観察
• “疲労感”など曖昧な情報も記録に残す
• ヒヤリハットへの記入を習慣化してもらうよう働きかける

STがいないなら、**「見えている人が、まず小さく声を出す」**ことが、安全な食支援につながります。


おわりに


私たちPTは、STではありません。
けれど、STがいない現場で“何もしない”のではなく、
**「PTとしてできることを丁寧に、確実にやる」**という意識が、現場の安心につながると信じています。

誤嚥性肺炎はゼロにできなくても、
予兆に気づき、チームで共有し、最悪の事態を減らすことはできます。


次回予告


「PTなのに食事?と言われた私が、今も食介に入る理由」
→ なぜPTが“食べる場面”に関わるのか。その意味と現場で得たことを共有します。

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