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昔のドナルドのウワサ

ドラえもんの声優さんが交代されて、今年で20周年なのだそうです。

大山のぶ代さんが演じていらしたドラえもんの「ウフフフフ」という独特の笑い声を聞くといまだに安心するし、平成時代のドラえもんの絵柄を見ると、やったことないのに胎内回帰をしたような気持ちになるのですが、それはそれとして。

水田わさびさんが演じるネコ撫で声のドラえもんにも、今では随分と愛着が湧いてきております。

数年前からはジャイアンの顔も原作に準拠したデザインに刷新され、近年の映画はキャラクターデザインがだんだん昔の絵柄に近づいていることもあって、むしろ今がいちばん『ドラえもん』という作品を楽しめている感すらあります。

などと言いつつ、まだ映画は観に行っていないのですが……。

クレヨンしんちゃんの新しい声も、もうそろそろ慣れてきました。ちびまる子ちゃんはまだ少しTARAKOさんの面影を探してしまいますが、それもあとしばらくのことと思います。

幼い頃から慣れ親しんだキャラクターが時代とともに変化していくのは、最初こそ戸惑いがあるものの、時が経てば、最初の違和感がまるで幻だったかのように思えてくる。不思議なものです。

…………けれども、現在のあいつに関してだけは、未だになんとなく違和感がある。

みんな大好きな、アメリカ生まれのあいつ。みんな幼少時から知っているあいつ。街中に絶対にいるあいつ。

赤い髪に、白い肌。やたらと厚い紅化粧。右の胸に「M」の文字が入った黄色い服。屈託のない笑顔と「ランランルー」なる奇怪な言語で、俺たちの脳を錯乱させてくるあいつ。 

ドナルド・マクドナルドである。

幼少時から知っている身近な人物で、何度も(主に日本のマクドナルドの店頭で)お会いしているので、親しみをこめて、あえて「さん」付けはしないし、「あいつ」呼ばわりしますが、最近のドナルドは、私が幼少時によく見ていたドナルドの姿ではない。

だいたい、最近のドナルドは喋りすぎる。

なにが「ランランルー」やねん。

平成末期以降に生まれた子供たちの間では、ドナルドといえば「ランランルー」であり、どういう経緯なのか、なぜかそれがチクチク言葉として濫用されるようになり、「ランランルー」の使用禁止を唱える小学校が続出したといいます。

「ホバーランランルー」というのもあり、さらに上位のチクチク言葉に認定されているらしいのですが、もう私のように20年以上も前にコロコロコミックを卒業した中年には理解できない。

今では信じられない話ですが、昔の大人たちは、通称ポケモンと呼ばれるゲーム上のモンスターを集めて進化させたり、その過程をカードゲームにしたポケモンカードなるもので遊んでいる子供たちを、不思議がっていました。

あれを151匹も集めて何が楽しいのかと。それが描かれているカードでバトルとか、何をやっとるのかさっぱりわからんと。

私が「ランランルー」「ホバーランランルー」がなぜそんなにまで影響力を持っているのか理解できないのも、それに近いのかもしれません。いや全然ちがうな。そもそも「ランランルー」問題も2010年代前半くらいの話らしいので……。

話がなんだか逸れてしまいましたが、「ランランルー」という言語そのものについては別にどうでも良いのです。

それよりもドナルドよ、おまえは踊りながら「ランランルー」とか歌うようなキャラじゃなかっただろ?

もっと謎めいていて、正体不明で、ハッピーセットの商品映像の後ろで、ただただ無言で両手を広げている、それが平成中期までのドナルドだった。

あくまで自身はバッキングに徹する、ロックバンドの下手ギタリストのような渋みこそが、ドナルドよ、おまえの本分ではなかったか?

「ランランルー」の起源となったのは2004年~2007年ごろにかけて放送されていたマクドナルドのテレビCM「ドナルドのウワサ」シリーズですが、そのシリーズのひとつに「ドナルドってしゃべるの?」というものがありました。

それくらい、当時はドナルドという人物がおおっぴらに喋るイメージがなかったのです。そして、無口だと思っていたドナルドが喋りだし、次第にけっこう快活な性格であることが判明し、さらには「ランランルー」と叫び出しました。

マクドナルド公式の「よくあるご質問」コーナーでは、「この言葉を叫ぶと嬉しい気持ちが2倍にも3倍にもなる」などと意味不明な供述をしています。

最近のテレビCMでも相変わらず朗らかに叫んでいるのか?と思って調べてみたところ、衝撃の事実が判明。

なんとドナルド、2007年を最後に、マクドナルドのテレビCMに出演していないのだそうだ……。ん?ということは、私は18年前を「最近」と呼んでいたのか……?

不健康な食品をキャッチーなマスコットキャラクターを用いて売り出していることを問題視したアメリカの市民団体が、ドナルドをマクドナルドのCMに出すことへの反対署名運動を行った影響なのだそうです。じゃあペプシマンも今はダメなのだろうか。

いなくなったのだとわかってしまうと、たとえ「ランランルー」と叫んでいても、不気味なダンスを踊り出してもいいから、もう一度CMでのドナルドが見たい。

でも、平成中期までの、あの独特な謎めいたドナルドがいちばん好きなんだよなあ。

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