義母がいつも話す、謎の団体「福利厚生会」
先日、義母が暮らす施設で開かれたイベントのお手伝いに参加してきました。
いつもより職員の皆さんとゆっくりお話しする時間があり、
そんな中で一人の職員さんが、
「そういえば…」
と思い出したように話し始めました。
すると周りの職員さんたちも、
「そうそう!」
「○○さん、その言葉いつも言いますよね!」
と、みんなで盛り上がったのです。
その言葉とは──
「福利厚生会」。
義母はかなり前から、この「福利厚生会」の話をよくしていました。
義父は公務員として長年働き、多くの方に慕われていた人でした。
その義父を支えながら暮らしてきた義母にとって、その頃の思い出は今でも大切な記憶として残っているのでしょう。
「じいちゃんのおかげでね。」
そんな言葉から始まり、
若い頃から福利厚生会に積立をしていたとか、寄付をしていたとか…。
そして、
「福利厚生会は誰でも入れるものじゃないんだよ。」
と、少し誇らしげに話すそうです。
その話を聞いた職員さんたちは、
「選ばれた人だけが入れる団体なんですね!」
と笑いながら話を合わせてくださっていたそうです。
私も思わず笑ってしまいました。
でも、この「福利厚生会」という言葉は、義母にとってはただの思い込みではなく、とても大切な存在でもありました。
在宅介護をしていた頃、デイサービスへ行きたがらない日があると、
「せっかく福利厚生会に積立をしてきたんだから、もったいないよ。」
と声を掛けると、
「あ〜そうだよ!若い頃からかけてきたんだから!」
と、いつもの自慢話が始まり、そのまま気持ちよく出掛けてくれたこともありました。
週に一度、宅配のお弁当が届くようになると、
「福利厚生から届くんだよ。」
と嬉しそうに話し、
ヘルパーさんが来てくださることも、
「福利厚生のおかげ。」
義母の中では、若い頃に積み立てたり誰かのためにしてきたことが、年を重ねた今、自分に返ってきている。
そんな、とても都合のいい(笑)、でも優しい仕組みになっていたようです。
実際には、介護認定を受け、ケアマネジャーさんと相談し、さまざまな手続きを経て利用している介護サービスなのですが、義母はそれを「福利厚生会」という一つの言葉で理解していました。
私はそのたびに心の中で、
「本当はそうじゃないんだけどね。」
と思いながらも、その世界を否定することはしませんでした。
そのおかげで介護サービスを自然に受け入れられていたのなら、それで十分だったように思います。
今回、職員さんから
「福利厚生会って、どんな団体なんですか?」
と聞かれました。
「実は…私もよくわからないんです。」
そう答えると、
「お嫁さんでも知らないことだったんですね!」
と皆さん大笑い。
どうやら施設では、
「義母といえば福利厚生会。」
それくらい有名な合言葉になっていたようです。
認知症になると、現実と記憶が混ざり合い、その人だけの物語が生まれることがあります。
時には戸惑うこともありますが、その物語が本人の安心につながることも少なくありません。
義母が話す「福利厚生会」は、多分? 福利厚生のことだと思いますが😅
義母だけの世界にある、優しい仕組みなのかもしれません。
今まで当たり前の様に聞いていた団体名でしたが、
改めて聞くと、義母といえば「福利厚生会」は納得でした(笑)
先日のイベントではそんな話で盛り上がり
義母の話の面白さを また再確認した1日となりました。
