失敗から学んだ面接の質を高めるための方法 ―適切な終結と次回への継続性を高める技術―
面接の終了時間が近づくと、時計の針が気になり、「どうやってこの場を締めくくればよいか」と迷うことはありませんか。
特に経験が浅いうちは、重要な話が始まったばかりの時や、沈黙が続いている中で「お時間です」と告げることに、心苦しさや難しさを感じるものです。
しかし、面接の終わり方は、単なる時間の区切りではありません。
利用者が面接室を出た後の日常生活をどう過ごすか、そして次回の面接にどのような心持ちで臨むかを左右する、極めて重要なプロセスです。
今回は、面接の「終結」を丁寧に扱うことで、支援の継続性と安全性を高めるための方法について考えていきます。
1. 枠組み(時間)を維持することの意義
面接において、決められた時間を守ることは、単なる事務的なルールではありません。
それは「面接構造」を維持するという心理師ならではの職務になります。
時間通りに終わることは、利用者に対して「ここは予測可能な、安全なルールが保たれている場所である」という安心感を与えます。
逆に、支援者がその場の感情に流されて延長を繰り返すと、適切な境界線が曖昧になり、結果として利用者に不安定さを与えてしまうことがあります。
時間を管理する責任を支援者が負うことで、利用者はその時間内で安心して自分と向き合うことができるようになります。
2. 終わりに向けた準備:要約と共有
面接を唐突に終わらせないためには、段階的な準備が必要です。
まずは、終了の10分ほど前に「あと10分ほどですが」といった事前の声掛けを行います。これにより、利用者は心の準備を整え、話をまとめやすくなります。
その上で、その時間で行われた対話を支援者が簡潔に要約し、共有します。振り返りを行うことで、利用者は自分が理解されたという感覚を持ち、その日の収穫を確認して席を立つことができます。
3. 終了直前に語られた内容への対応
面接の最後、まさに席を立とうとする瞬間に、非常に重要な話題や深刻な悩みが打ち明けられることがあります。
このような時、無理にその場で深掘りをしたり、時間を大幅に延長して解決しようとしたりする必要はありません。
むしろ、「非常に大切なお話ですので、次回、お時間の最初からじっくり伺いたいと思います」と伝え、次回のテーマとして予約することが大切です。
大切なのは、利用者が過度に動揺したまま帰宅しないよう、一度話題を整理し、落ち着いた状態で面接室を出られるよう配慮することです。
4. 日常生活への移行をサポートする
面接が終わった後の数分間は、利用者が「相談者」から「日常生活を送る一人」へと戻っていくための移行期間です。
今日話した内容を、次回までの間にどのように自分の中で持っておくか、あるいは日常生活で少し意識してみることはあるかなど、次への「橋渡し」を一緒に確認します。
また、次回の予約日時を改めて確認するといった事務的なやり取りも、次回のつながりを具体的に示すことで、利用者に安心感をもたらします。
【結び】
面接を適切に締めくくることは、関係を断つことではなく、次回の対話をより豊かなものにするための準備です。
たとえその日の終わり方が少し不器用になってしまったとしても、それを次回の面接の冒頭で「前回、最後の方は慌ただしくなってしまいましたが、その後いかがでしたか」と取り上げることで、新たな理解の材料にすることもできます。
「さよなら」の時間を丁寧に扱うことが、次回の「こんにちは」をより実りあるものにしていくはずです。
