【東京エッセイ】駅にて
完成して未だ日が浅い真新しい駅は、何処も綺麗で清潔だった。
薄らと塗料の匂いがしていた。
ホームに人影はほとんどなく、そのせいか、この新しい駅が却ってうすら寂しく感じた。
誰が旅立つために、誰を迎えるために、建てられたのだろう。
そんなことを考えていた。
列車が到着するまでの数分間は、しんと静まり返ったホームに、到着を知らせるアナウンスが、まるで山奥のカケスが鳴いているような感じがした。
世界に一人きりというのは、こういう瞬間に訪れるのかもしれない。
世界最高速の列車が、こちらに向かってくるのが見えた。
