【東京エッセイ】レモングラス
朝、レモングラスのアロマスティックに火をつける。
他にも何種類かアロマスティックはあるが、その日の気分次第で、何を使うかは日々異なる。
今朝は、レモングラスだった。
煙とともに立ち昇る清廉な香りに、なんとなく心が軽やかな気持ちになる。
昨夜就寝する時には、今朝もこうして一日が始まるとは夢にも思わずにいた。
だからかもしれない。
レモングラスのアロマスティックに火をつける時の感覚は、不思議と現実感がなかった。
現実感を取り戻したのは、レモングラスの香りに包まれてからだった。
何と言えば良いのだろう。
僕は、いつも一日限りの命を生きて、その積み重ねの上に今日がある生活を続けている。
それは、今日という日が二度と来ないと思いながら、唯只管に、“今ここ”を大切にする連続、継続だけの過ごしをしているからなのだろうか。
こうして文を書くのも、言葉を紡ぐのも、或る意味では、生きている証を自分自身で確かめているからなのかもしれない。
本当にそうなのかな、と心の何処かにいつも疑問符が消えないからなのだろう。
常に揺れ動き移ろい続ける世界の中で、レモングラスの香りだけは、しっかりと僕と世界を繋ぎ止めていてくれるようだ、と感じている。
どうやら僕は、未だいるらしい。
