【日本橋】茶ノ木神社|火伏せと生産のご利益で暮らしを守る小さな鎮守
◆はじめに
日本橋の中でも、とりわけ落ち着いた空気が流れる小舟町の一角。
ビルの谷間に、
まるで昔からそこに在り続けてきたかのように静かに佇む神社があります。
それが―― 茶ノ木神社。
華やかな社殿や大きな鳥居こそありませんが、
足を踏み入れた瞬間にふっと肩の力が抜けるような、
不思議な安心感が訪れます。
古くから“悪縁を断ち、良縁を招く”と言われ、
地域の人々に寄り添ってきた小さな鎮守さまです。
日本橋七福神の巡礼の中でも、喧騒から離れ、心を整える役割を担う存在。
参拝の途中でこの場所に立ち寄ると、旅全体のテンポが穏やかに整い、
まるで深呼吸をひとつ入れたような感覚になります。
今回は、そんな茶ノ木神社の由来・ご利益・見どころを、
実際の参拝体験を交えながら紹介していきます。
七福神めぐり全体の回り方や他の神社の紹介はこちら
→はじめての日本橋七福神|アクセス抜群の街歩きコース
◆茶ノ木神社とは? 〜歴史とご祭神〜
ここからは
茶ノ木神社が「火伏せの神と崇められている理由」
その理由を歴史と伝承から見ていきます。
〇由緒
お茶ノ木様と町の人々に親しまれている茶ノ木神社の御祭神は、
倉稲魂大社で伏見系の稲荷様である。
元この土地は、徳川時代約3000坪に及ぶ下総佐倉の城主(十八万石)
大老堀田家の中屋敷であって、
この祭神は其の守護神として祀られたものである。
社の周囲に巡られた土壌芝の上に丸く刈り込まれた茶の木がぐるりと
植え込まれ、芝の茶の木の緑が実に見事であったと伝えられている。
そして、永年屋敷内は、周囲の町方にも絶えて火災が起こらなかった為、
いつの頃からか誰言うとなく、火伏せの神と崇められ、
堀田家では年一回初午祭の当日だけ開門して、
一般の参拝を自由にされた由、
お茶の木さまの愛称で町の評判も相当であったらしい。
以上は、堀田家の老女で仕えた人の身内で、下総関宿の人、
此の土地の差配であった謡友沢田恵吾氏より直接聴いた話である。
明治以来誰の手で祀られて来たか、遠い昔は知る由もないが、
大正十二年関東大震災後は、喜誠会の人々の力により、
此の土地を定めて社を建立し、永い間お世話下さったのである。
昭和八年以来、そのまま受け続いで
蠣殻町二丁目北部町会・人形町一丁目西部町会(現 在:人形町一丁目)
がお守(現在: 茶ノ木神社世話人会)りして来た。
昭和三十五年の地下鉄公団
(現 在:東京地下鉄株式会社(旧:営団地下鉄))、
日比谷線が決定の時、
当社がその計画路線にあった為解体新築の止むなきに至った。
工事中御神体を都下保谷市(現 在: 西東京市)の
東伏見稲荷神社にお移し申し上げた。旧社は、解体の上、
八王子市の某町会に贈った。
約三年余りで地下鉄も完成したのが其の間世話人一同、
新社殿建立の苦労は、大きかった。
新たに昭和六十年十一月十六日、
布袋尊を御遷座合祀り申し上げて
日本橋七福神詣りに加わる事となりました。
〇ご祭神
倉稲魂大神(ウカノミタマノオオカミ)
布袋尊(ほていそん)
◆茶ノ木神社の境内にある看板に記されている歴史

「お茶ノ木様」と町内の人々に親しまれている茶ノ木神社の御祭神は
倉稲魂大神(ウカノミタマノオオカミ)で伏見系の稲荷様(※)である。
昔この土地は徳川時代約三千坪に及ぶ下総佐倉の
城主大老堀田家の中屋敷であって、
この神社はその守護神として祀られたものである。
社の周囲に巡らされた土堤芝の上に丸く刈り込まれた茶の木がぐるりと
植え込まれ、芝と茶の木の緑が見事であったと伝えられている。
その中屋敷内は勿論のこと周囲の町方にも永年火災が起こらなかったため、いつのころから誰言うとなく火伏の神と崇められ、
堀田家では年一回初午祭の当日だけ開門して一般の参拝を自由にされた由
「お茶ノ木様」の愛称で町の評判も相当であったと伝えられている。
また、新たに昭和六十年布袋尊を御遷座合祀申し上げて日本橋七福神詣りに加わることになった。
布袋尊は実在した中国唐代の禅僧で、阿弥陀菩薩の化身と言われている。
福徳円満の相が喜ばれ、世の清濁を併せ呑む大きな腹をして袋の中にいっぱいの宝物を入れ、
人々に福運大願を成就させる和合成就の神様と崇められている。
〇要約
茶ノ木神社は「お茶ノ木様」と親しまれる伏見系稲荷で、
堀田家(下総佐倉藩)の中屋敷の守護神として祀られた神社。
周囲に植えられた茶の木が名物で、
屋敷や町内に長く火災が起きなかったことから
火伏せの神として信仰を集めた。
昭和60年には 布袋尊が合祀され、日本橋七福神の一社となっている。
〇伏見系の稲荷様とは?
稲荷信仰の総本宮である
伏見稲荷大社(京都・千本鳥居で有名) を源とし、
・ご祭神
・ご神徳(商売繁盛・五穀豊穣・家内安全 など)
・祭祀の形式
・神職の研修や資料提供
・分霊・勧請(分け御霊)
などの“信仰の系統”を受け継いでいる稲荷神社のことを、広く 「伏見系」 と呼びます。
稲荷神社については別記事で詳しくご紹介する予定です。
◆境内の見どころ
〇全てがコンパクトにまとめた境内
鳥居のすぐ後ろに本殿があり、本殿と鳥居の間に手水舎と左右に狐の石像が鎮座しています。

〇社務所がない
社務所はなく、御朱印は隣にあるオフィスビルの一画に紙に印刷されておいてあります。
神社感は全くなく、事務所感満載の雰囲気です。

◆アクセスと参拝のコツ

〇最寄り駅
所在地:東京都中央区日本橋人形町1-12-10
東京メトロ半蔵門線 水天宮前駅 徒歩2分
東京メトロ日比谷線・都営地下鉄浅草線 人形町駅 徒歩2分
東京メトロ東西線・日比谷線 茅場町駅 徒歩8分
〇おすすめの時間帯
全てが一か所にコンパクトにまとまった神社なので
いつ訪れても良いと思います。
ただ、御朱印をもらう場合は受け取り場所は狭いので人が多い休日は
避けた方がいいかもしれません。
〇参拝の所要時間の目安
・御朱印をもらうまで:5分
ただし、
人が多い時間は御朱印をもらう場所が狭いので避けたほうがいいかも
◆日本橋七福神めぐりの中での“茶ノ木神社”の役割
七福神めぐりの中で、茶ノ木神社は 「防災・生産」――暮らしと仕事の基盤を守り、豊かさを育てる役割 を担う存在といえます。
日本橋という地域は、江戸の昔から商いと物流の中心地でした。
火事・疫病・社会の変化・景気の波……
生活と経済を脅かすものはいつの時代にも存在していました。
その中で、茶ノ木神社は 災厄を遠ざけ、
人々の営みが安定して続くように祈る神社 として信仰されてきました。
▶ 災害や不慮の災いから身を守る防御力
▶ 働くこと・生産することを支え、暮らしを豊かにしていく力
――この“守りと育ての両面”が、茶ノ木神社の特色です。
七福神めぐりにおいても、この役割は非常に重要です。
金運・商売繁盛・良縁・学業・健康……
どの運気を授かるにしても、
その基盤となるのは 「安心して暮らし、働ける状態」 だからです。
巡拝ルートの途中で茶ノ木神社に立ち寄ることで、
まるで人生の土台――家・身体・仕事・人間関係・日常――
を整えるかのように、旅全体に安心感と安定のバランスが生まれます。
「運を育てる前に、まず災いを遠ざけ、生活を守る」
そのうえで「仕事や活動を伸ばし、生産の実りへつなげていく」
それが、日本橋七福神めぐりの中における
茶ノ木神社の大切な役割 といえるでしょう。
◆御朱印
隣にあるオフィスビルの一画で受け取れます
1枚 500円

◆まとめ
茶ノ木神社は、派手さこそない小さな鎮守ですが、
そこには 生活を守り、未来を育てる力 が静かに息づいています。
災いを遠ざける“防災”のご利益と、
仕事や日々の営みを実らせる“生産”のご利益。
どちらも、豊かに生きていくうえで欠かすことのできない大切な運気です。
都会のビルの谷間にありながら、境内に一歩入ればふっと心がほどけ、
「また明日から頑張ろう」と思わせてくれる――
茶ノ木神社はそんな場所でした。
日本橋七福神めぐりの中でも、
“安心して暮らし、働ける土台を整える役割を担う一社”。
日常の不安を手放し、未来に実りを迎えたい人にこそ、
ぜひ訪れてほしい神社です。
「茶ノ木神社だけでもよかった。
でも、せっかくなら七福神を全部めぐってみたい」
そんな方に向けて、
6社の見どころ・回り方・迷わないルートをまとめた記事を用意しました。
→はじめての日本橋七福神|アクセス抜群の街歩きコース
