我がパンくずリスト|続 あの夏のチャリンコ珍道中⑥
『中学生になったんだから、夏休みくらい何かしたい』
というひょんなことからチャリンコで田舎を目指すことになった。
山の中の道は、うっすらと明るくなってきていた。
頂上に着いたのか先の道が下っているように見えた。
すると、目の前に
『ようこそ 湯沢町へ』
の看板。
気が付かない間に群馬を越えて、新潟を跨いでいたのであった。
星空は見えなくなり、辺りは静かに明るくなっていた。
朝靄の向こうに電光掲示板が見える。
『3℃』
えっっ!!
寒ッ!!!
真夏にこの温度はえげつない。
寒さも忘れ必死に登っていた。
カゴの中と自転車に括り付けていたリュックからあるだけの長袖とジーンズ長ズボンを出して着込んだ。
まるで雪だるまのようになった。
ただ、このくらい着込まなければ寒かったのである。
それでも、幸運なことにその先は下り坂が続いた。
ただ乗っているだけで加速していくチャリンコ。
スピードがぐんぐんと増していく。
気を抜くと吹っ飛んで崖から落ちていきそうだ。
ブレーキもかけ過ぎると壊れてしまいそうだ。
キィーキーと、たまに甲高い音を響かせて下っていく。
一晩中寝ずに走っていた、いや歩いていた。
チャリンコを押しながら、暗闇を歩き続けた。
__眠たい
しかし、ここで眠ってしまうと、吹っ飛んで死んでしまう。
必死に睡魔と戦っていた。
しかし、睡魔との戦いは呆気なく敗北する。
途中、ひらけた場所があったため、休憩を取ることとした。
さぁ、ようやく寝れる。
少し休まなければ、体も冷えてるしマズいかもしれない。
わたしは、地面に横たわり眠りかけていた。
その時だった…
ブーン!
体の周りに響く音。
は、蜂だぁッ!
父に
「逃げるぞぅー!!」
と声を掛けられた。
すっかり目は冴えて、充血した目を見開きながら、下り坂を一気に降りていくのであった…
つづく…
