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趣味ならOK、仕事はNG? 年齢という壁について考えた 光浦靖子『ようやくカレッジに行きまして』

目的もなく本屋をうろうろするのは大好きなのですが、最近は自重しています。
なんなら、本屋の前を通ることすら避けています。
だってお金がないんだもん。

いまや本屋は、覚悟なくして踏み入れることができない危険地帯と化しています。
行くのであれば、脇目も振らず目当ての棚に直行し、ターゲットだけを速やかに買って店を出るべし。

心を強く持たないと、あの棚、この棚から「呼び込み君」の幻聴が聞こえてくるのです。

そんなわけで、厳しく自己を律してきました。
ああ、それなのに……。

先日、うっかり本屋に入ってしまい、手に取ってしまったのがこの本です。


光浦靖子『ようやくカレッジに行きまして』

こちらは、お笑いコンビ・オアシズの光浦靖子さんの留学生活を記したエッセイです。
厳しくも楽しい学生生活や、休暇中のキャンプの話など、カナダでの日々がユーモアあふれる文章で生き生きと描かれています。

あらすじ

カナダの労働許可を得るために、料理の専門学校に入学した光浦靖子。
入学時点で50歳超え。
充実しつつも過酷な2年間のドタバタ学生生活が始まった。
過酷な授業、実習、課題に追われる毎日。
言語のハンデ、文化の壁、そして体育会系すぎる料理人世界の洗礼……
試練の数々に彼女はどう立ち向かうのか。


1,650円に葛藤するも……

税込1,650円。
決して安くはない。

コスパ重視でいくなら、分厚くて重めの小説の新刊を買いたいところ。
芸能人のエッセイなんて、すぐ読み終わってしまいそうです。
しかも、特に著者のファンというわけでもないというのに……。


年齢というテーマ

オアシズの光浦靖子さんがカナダに留学している、という話は知っていました。

日本の芸能界でそれなりのポジションにいたのに、すべてを手放して異国でゼロから挑戦する。
それも、50代で。
素直に、すごいと思います。

そうなのです。

この本を語るうえで、「年齢」は避けて通れません。
そしてそれこそが、うっかりこの本を買ってしまった理由でもあります。
というのも、「年齢と挑戦」について、私はずっとモヤモヤを抱えていたからです。

同級生も教師陣(シェフ)も、彼女の年齢を誰も気にしていないことに驚きました。
どうやらあちらでは、「いい年齢」の大人が10代20代に混ざって学ぶことは珍しくないようです。

では、翻って我が国はどうか。


「いい年齢」での挑戦に意外と優しい日本社会

あ、誤解しないでくださいね。
「日本はダメだ、カナダ万歳!」みたいな単純比較をしたいわけではありません。

実際のところ、「いい年齢」で何かを学ぶことや、新しいことに挑戦することに対して、日本社会はわりと優しいのではないかと思います。

カルチャーセンターで俳句のクラスに通うとか、
外国語を習い始めるとか、
一念発起して大学に入り、古典文学を研究するとか。

「素敵なご趣味ですね」と称賛される。

日本の世論は、とても優しいのです。
……趣味の範囲であれば。


「お金」が絡むと豹変する

これが職業に直結するとか、お金が絡む話になると、空気は変わります。

たとえば、以前「高齢者が医学部に合格した」というニュースのコメント欄に、次のような意見が書き込まれていました。

「若者の枠を奪うな」
「税金の無駄遣い」
(国立大学だったから)

医学部に合格するなんて、何歳であれ手放しで褒めてもいいと思うのですけどね……。
まあ、医師は一人前になるまでに時間もお金もかかる。
そういう声が出てくるのも、わからなくはない。

でも、こういうのは超レアケースだからこそニュースになるのです。
そこまでできる人にであれば、年齢に関係なく投資する価値はあるのではないでしょうか。


余計なお世話をしたがる人たち

国立大学でも職業に直結しない学部や、枠の多い専門学校なら世間の声はだいぶ優しい。
それでも、必ずとやかく言う人は出てきます。

そして、たしなめると、決まってこう言うのです。

「○○さんのためを思って」
「他人にとやかく言われて嫌になる程度の覚悟で云々かんぬん」

ええ、ええ、そうですね。
でも、その「とやかく」を言う資格が、なぜお前にあると思った?


他人の挑戦に寛容でありたい

学費で破産しそうとか、健康上どうしても無理、という事情でもない限り、とやかく言われる筋合いはないはずです。
そして、言う資格があるとすれば、親族かよほど親しい友人くらいでしょう。

他人の挑戦には寛容でありたい。
少なくとも、年齢だけを理由にネガティブな反応はするまい。

そんなことを心に誓いながら、本を閉じたのでした。


今回紹介した本


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