『年とったばあやのお話かご』 絶妙に嫌すぎる呪いの話
小学生の頃、『年とったばあやのお話かご』という本が、私のお気に入りだった。
エリナー・ファージョンというイギリスの作家が書いた児童書で、タイトルにもなっているベテランシッターのばあやが、いま世話をしている子どもたちが寝る前に、過去に世話してきた古今東西の子供たちの事を話して聞かせる、という形式の連作短編集である。


中でも特に印象に残っているのは、「金の足のベルタ」という話である。
なぜかというと、絶妙に嫌な呪いが出てくるのである。
むかし、ある地方の領主に娘が生まれ、ベルタと名付けられた。
そして、当時この家に雇われていたばあやが、ベルタの世話係に就任したのだった。
ベルタの洗礼式には、妖精たちも招待されていた。
招待されなかった妖精が悪さをするのを、ベルタの両親は恐れていたのだ。
いばら姫のところはそれで失敗したからね。
リスクヘッジできるパパとママ有能!
ドイツ妖精界最大手のローレライさんもやってきて、こう言った。
「この子に贈り物として、金の足を授けましょう」
「は?!なんて?」
一同が困惑するなか、招かれざる客もやってきた。
「流石に、こいつはいいか」と招待しなかったクソ雑魚妖精がやってきてしまったのだ。
パパとママやっぱり無能だった!
クソ雑魚妖精は言った、
「この子の靴下には生涯穴が開く。これが贈り物だ」

嫌すぎるわ!
嫌すぎるけど、生死に関係無いのが絶妙である。
ヒロインにかけられる呪いが「靴下に穴が開き続ける」は斬新すぎる…
こうして、ベルタは生後間も無くして2つの呪いをかけられてしまったのだが、大人たちは「金の足」の方をより心配していた。
「こんな事が世間に知られたら、嫁の貰い手がなくなるのではないか」
というわけで、靴下で隠そうとしたのだが、ここでもう一つの呪いが活きてくる。
クソ雑魚妖精のくせに、呪いの「こうかはばつぐん」だったのだ。
ばあやは靴下を繕いまくっていたのだが、追いつかない勢いで爆速で穴が開くのである。
想像すると、なかなかシュールな光景である。
その後いろいろあって、なんと靴下の穴のせいで国(領地)と家が滅びかけたりするのである。
面白そうでしょ?
面白いのですよ。
他の話も一癖あって面白い。
パンを作っていたら、いつのまにか大砲の球が出来てたメシマズ姫の話、美しすぎて誰も顔を見てはいけない美女の話、不思議な話や見ようによってはちょっと怖い話があったりで、子供向けとはいえ、ありきたりの設定や、単純な「めでたしめでたし」では済ましまへんでェ!という、物語に対する作者の情熱と気概を感じる。
大人の鑑賞にも充分に耐える本なので、幅広い層にお勧めしたいのだが、残念なことに絶版である。
出版社さん、なんとかなりませんかね!
図書館や古本屋で見つけたら、ぜひ手に取ってみてほしい。
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