パンプス:Vol.2 パンプス
一年ほど前だったか、武人は陽子の研修を担当したことがある。確か閉店時間を越して、武人が看板の照明を切り掛けた時であった。坂田氏が事務室から手招きして、武人を呼んだ。看板の照明を切ろうとすると、事務室から外へ出ていかなければならなかった。坂田氏は、武人とすれちがいざまにこやかにこう言った。
「吉本君、明日新しい子が来るんやけど、研修を担当してくれへんかなぁ?」
武人は、看板の照明を切りに行こうとする足を止めた。
「店長、勘弁して下さいよ。明日は非番じゃないですか。」
坂田氏は、待ってましたとばかりにこう言った。
「いや、それがねぇ、すっごくかわいい子なんよ。どうや? かわいい子が相手なら悪い気はせえへんやろ? ねっ、お願い。吉本君しか頼りにできひんねん。いつもの時給と残業手当出しとくし。」
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