ハワイの扉④:カヌーが開いたオハナへの扉
ここ最近、ハワイの先住民であるハワイアンの人たちと、私たちのような新しい移住者との間にある「見えない壁」について書いてきた。少し重く、暗いトーンが続いてしまったかもしれない。
けれど先日、そんな空気を一変させるような、正反対の体験をすることになった。
きっかけは、夫が3年前から夢中になっている「アウトリガーカヌー」だ。 ハワイの伝統文化でもあるこのスポーツは、想像以上に過酷な世界だった。週に3回の練習に加え、週末は各地でレースが行われる。
高校の体育会系を彷彿とさせる凄まじい練習量には、夫も初めは戸惑っていたが、上達するにつれ面白さがわかるようになったのか、彼も次第にのめり込むようになった。
はじめは6人乗りのチームメンバーとして。そして昨年からは自分専用の一人乗りカヌーを購入し、黙々と練習を積み重ねてきた。
先週の土曜日、その一人乗りカヌーのシーズンの最後を飾るレースが、私たちの家のすぐ近くのホーナウナウ(ツーステップビーチ)開催されたので、私も応援に行った。
カヌーのレースは一度海へ出ると、数マイル、時には10マイル以上の長距離を漕ぎ続ける。一度見送れば、帰ってくるまでかなりの時間がかかる。私は浜辺の椅子に座り、ただ海を眺めながら夫の帰りを待っていた。

ハワイ島で最も美しいシュノーケリングエリアとして知られている

辿り着けばすべての罪が許され、命が守られたという聖なる『逃れの地(プウホヌア)』
すると、私の隣に日焼けした中年の男性たちが座った。一人は白人、二人はハワイアン。 夫と同じクラブのTシャツを着ているので、私は少し勇気を出して、「こんにちは。ゲリー(夫)の妻です」と自己紹介をしてみた。
その瞬間、彼らの顔にパッと明るい笑みが広がった。 「おお、ゲリー! あいつは今年、本当によく頑張ってるよな!」「6人乗りのカヌーはゲリーと一緒がいいよ、強いから!」 それは、驚くほど温かく、親愛に満ちたウェルカムの言葉だった。
前の記事で書いたような、あの冷たい壁はそこには一切なかった。 「君はいつカヌーを始めるんだい?」なんて冗談めかして誘ってくれる彼らの輪の中にいると、自分が「オハナ(家族)」の片隅に、確かに招き入れられているのを感じて胸が温かくなった。
聞けば、白人の夫がチームに入った当初は、やはりハワイアンのメンバーたちとの間に距離があったのだという。 けれど、夫が誰よりも熱心に練習に打ち込み、チームにとってなくてはならない戦力となり、お互いの実力を認め合う中で、その壁は少しずつ、けれど確実に溶けていった。
同じ目的を持ち、長い時間を共にし、ときには喧嘩もしながら、信頼を築いていったのだ。
レースの最後、表彰式が行われた。 夫は60代のカテゴリーで、なんと今大会、そしてシーズン全体を通しても優勝という快挙を成し遂げた。 仲間たちが自分のことのように喜び、ライバル同士がお互いの健闘を称え合う姿を見て、チームスポーツに打ち込んだことのなかった私は、少し羨ましく思った。

打ち解けるまでには時間がかかるかもしれない。けれど、何かを一緒にやり続けること、同じ時間をただ共有していくこと、それが人の間にある壁を乗り越えていく、もしかすると唯一の方法かもしれない。
夫のおかげで私もお裾分けしてもらった「オハナ」の内側、ハワイで生きていく私にとって、何よりの希望の光となった。
ちなみに来週からは6人乗りボートのレースのシーズンが始まる。クラブの健闘を応援したい。
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夢を探索することとは、意識と無意識という二つの領域が、その「壁」を超えて健やかなチームワークを築いていくプロセスに似ています。
カヌーと同じように、その内なる信頼関係が深まれば深まるほど、私たちは人生という大海原をよりスムースに、そして力強く進んでいけるようになります。
2025年に出版した拙著『夢の声を聴く:プロセスワークがひらく夢見手たちの癒しと変容の物語』では、夢を通じて目に見えない領域と対話することで、人生がどのように変容していくのか、そしていかにして自分自身との揺るぎない信頼を築いていけるのかを、実例とともに描き出しています。
