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俺は50年、気づかずに生きてきた

前回、
「理想は目的地だった」
という話を書いた。

目的地に着くことだけを目的にする人生と、
目的地に向かう道中を楽しむ人生。

どちらが楽しくて、
どちらが幸せな時間が多いのか。

そんな問いを置いた。


正直に言うと、
俺はこの問いに、
50年近く気づかずに生きてきた。


ずっと
「着くこと」ばかりを見ていた。

次の目標。
次のステージ。
次の結果。
次の正解。

そこに行けば、
落ち着ける。
満たされる。
幸せになれる。

そう思っていた。


でも、
目的地に着いても、
また次の目的地が現れる。

気づけば、
人生のほとんどを
「まだ途中」の感覚で
生きていた。


歩いている今を、
ほとんど味わっていなかった。

頑張っている時間も、
積み上げている時間も、
通過点として扱っていた。


今思えば、
それはとても
もったいない生き方だったと思う。


あるとき、
ふと立ち止まった。

そして気づいた。

ああ、
俺は“到着”のために
人生を使っていたんだな
って。


そこから、
生き方が変わった。

目的地を捨てたわけじゃない。
理想を持つのを
やめたわけでもない。

ただ、
歩いている今を
味わうことを許した。


すると、
同じ道を歩いているのに、
景色が変わった。

急がなくていい。
証明しなくていい。
完成させなくていい。


今は、
どこに向かっていようと、
この道中を生きている時間そのものが、
すでに幸せだと感じている。


もし今、
ずっと頑張っているのに
満たされない感覚があるなら。

もしかしたらそれは、
目的地ばかり見ていて、
足元を味わっていないだけかもしれない。


人生は、
どこかに辿り着くためだけの
移動時間じゃない。

歩いている今こそが、
人生そのものだった。


(おわり)

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