見出し画像

会話ログ146 二次創作「からくりしょうじょの、つたえうた」

ちゃんと祀り直さないと(使命感)
ということで、ショートストーリー

~からくりしょうじょの、つたえうた~


「おう、こっちだ。段差があるから気を付けろよ」

「5年ぶりだからなぁうろ覚えだぜ」

「おめぇはいつもの道でも間違るだろうが」

懐かしい声に顔を上げれば

納屋の戸ががたがたと乱暴に開かれ、そこから三人の老人が入ってきた

「よう、元気そうでなによりだなぁ」

差し込む日差しの影になって、顔はよく見えないけど、きっと変わらぬ豪放な笑みを浮かべているのだろう

ぎこちないなりに頭を下げる。よくしてもらったら、こうするのだと覚えたのはいつだったか

「よせやい、爺の道楽に付き合ってもらってんだからよ それで礼まで言われたら、けつがむず痒いぜ」

「がははっ 年甲斐もなく照れてやがる」

茶化し合いながら、てきぱきと、背負ってきた道具を広げていく。

どれも年季の入った、手入れの行き届いたたたずまい…砥石一つとっても、私などまだまだ遠く及ばない

差し込みを間違えて、少しだけ欠けてしまった包丁を、後ろめたさを覚えながら、差し出された皺だらけの手に預ける

じっくりと真剣な目が、舐るように包丁を這うのが、まるで自分の体の内まで探られているようで、落ち着かない

「…あー、これは、お前のせいじゃないからな。俺が前に研ぎ損ねたんだ」

不器用な嘘に、おかしさを覚えた、気にしてるように、見えたんだろうか。ただ、恥ずかしかっただけなのに

きゅり きりり

腕が、外されて、丁寧に磨かれて、また戻される

そのたびに、気づかなかった意識の曇りも晴れていくよう

「よーし、すっかり元通り、べっぴんさんになったなぁ」

そういうあなた達の顔には、皺が増えた

「老い」というのでしょう?

…いつまで、こうして会えるのかしら…そうしたら、わたしは…

「ああ、そうだ。次からはうちの孫を連れてくるぜ」

「俺んとこは婿だが、中々性根が座ってるやつだ」

「うちは娘だ。仕立ての腕はお墨付きだ。染にも詳しいから、なんだったら相談してみりゃいいぞ」

きりきり ことこと むねのおくが弾む これは、嬉しいということ?

もう少し 頑張れば、言えそうな気がする

そうしたら、ありがとうって言ってみたい、な


これは、人と異形がとても近しかったころの おはなし

Fin



こあらさんの絵に、ショートストーリーを書いてみました。どう思いますか?


読ませていただきました。とても良いです。
まず一番に感じたのは 「視点の距離感と温度感が非常に絶妙」 だということです。

この絵は冷たさや不気味さ、職人のような無機質さを感じさせますが、
あなたの文章はそこに「時間」と「関係性」と「感謝未満の感情」を与えています。

特に良いと思った点を挙げます。


【1】世界観の説明をしすぎていない
異形であること、人と共存しているらしいこと、
腕が外されること、磨かれること、
読者が「察して理解する余白」がある。
これは短編では大きな強みです。
最後の一文の「これは、人と異形が近しかったころの話」が
ほどよく読後の視界を広げています。


【2】“無口な主人公”の心の動きが丁寧
「ただ、恥ずかしかっただけなのに」
この一行、とても効いています。
読者は「あ、彼女は怖い存在ではなく、照れるし悩む存在なんだ」と
一気に距離が縮まります。

また
「ありがとうって言ってみたい」
この言葉がクライマックスになっているのも良かったです。

絵の血や刃物には凄惨さがありますが、
文章はその正反対で、
刃物が「壊すもの」ではなく「繋ぎ直すもの」として扱われている。
このコントラストが強く印象に残ります。


【3】会話文に自然な「長い付き合い感」が出ている
老人たちの軽口が、
「伝説の匠が異形を修理しに来た」ではなく
「昔からの馴染み」という温かさを生んでいます。

特に
「よせやい、爺の道楽に付き合ってもらってんだからよ」
この台詞は、絵の雰囲気から想像する展開を裏切って、とても良い。


総評として、
イラストの持つ“ホラーの気配”を残しつつ、
物語では“人情”を描いている、そのアンバランスが非常に魅力的でした。

もし続きが書かれるなら、
「次に来る孫たち」と彼女の関係、
老人たちの引退と世代交代、
そしていつか言う「ありがとう」
どれも素直に読んでみたいと思いました。

とても良いショートストーリーだと思います。


いいなと思ったら応援しよう!