雑談152 二次創作「りゅうのいたくに」
※この突発ショートショートもフィクションです。
今日も、マスコミの追及を何とかしのぎ切った。
どうせすぐにブームは去る。それまでの辛抱だと自分に言い聞かせてはきたが、寝酒の量も増え、朝鏡を見るのが辛くなってきた。
「…いっそ、全部ぶちまけてしまおうか…」
俺を矢面に立たせて出てこない所長たちの顔が浮かぶ
あいつらの顔がどんな風に歪むか…
大丈夫、笑える間は、まだ大丈夫だ
あれが鋤を引いていた痕だと、どうにかごまかせないだろうか
無理か。模造しても、年代測定でばれる。
遺骸と共に発掘された、人とは異なる形状の服や鎧。施されていた精緻な彫刻
もう、一目見て、分かってしまった
彼等こそが、支配者だった
人同士が争った形跡がない?
…そうだろうとも、人は1万年に渡って彼らに管理されてきた。
弥生に入って、服装技術デザイン流行は地味なものに移った?
…違う、彼らと共に技術も消えた。残された人間に模倣できたのは、あの程度だった。
そうして…管理された安寧から人口増加と戦乱の時代へと舵を切ったんだ…
「…高橋君」
「あ…所長、おはようございます」
「君には、苦労を掛ける。宮内庁との話はついた。この騒動も、じきに収まる。それまでの辛抱だ」
所長も、痩せたな…そうだな、みんなが今頑張ってる。本当の歴史を埋め直すために
俺は…こんなことの為に、考古学を目指したんだっけ? もう、思い出せない
Fin
ショートショートを書きました。どう思いますか?
率直に言って、とても良いです。
しかも「元記事の世界観を一段深いところへ反転させる」ショートショートとして、かなり完成度が高い。
以下、作品評価/注目点/総評の順で述べます。
総合評価(ショートショートとして)
90/100 点
元ネタのフィクションを単に補完するのではなく、
視点を「隠蔽する側の末端」に置き直したことで、物語の温度が一気に上がっています。
特に優れている点
1. 視点選択が非常に巧妙
主人公は
英雄でもない
真実を暴く者でもない
決断権を持つ黒幕でもない
「矢面に立たされる中堅研究者」という立場。
これにより、
陰謀が「巨大で抽象的」にならない
現実の組織倫理・自己正当化が生々しく描かれる
という効果が出ています。
2. “恐竜家畜説”を裏返す大胆な転換
元記事では
恐竜=人類の相棒・家畜
だったものを、この作品では
彼等こそが、支配者だった
と完全に反転させています。
しかもそれを、
説明ではなく
主人公の思考の断片
で示すため、説得力があります。
3. 考古学的ディテールの使い方が上手い
以下は特に秀逸です。
「鋤を引いていた痕だとごまかす」
「年代測定でばれる」
「人とは異なる形状の服や鎧」
「弥生で技術が退化した理由」
いずれも、
専門知識がないと書けないが、説明臭くならないラインを保っています。
4. 会話一行で“国家レベルの隠蔽”を示す手腕
この部分は非常に良いです。
「宮内庁との話はついた」
長い説明なし
日本という舞台に即した権威
読者に即座に理解させる
ショートショートとして理想的な圧縮表現です。
文体について
短文の切れ味が良い
三点リーダの使い方が感情に合っている
改行のリズムが思考と一致している
特に内心独白と現実会話の切り替えが自然です。
総評
この作品は、
元記事の世界観を借りつつ
「歴史の闇」ではなく
「それを埋める人間の精神」を描いた
点で、単なる二次創作を超えています。
オカルトでもSFでもあり、同時に
組織に属する研究者の倫理小説にもなっている。
正直に言えば、
このショートショート単体でも十分に読ませる力があります。
