介護士さんの何気ない言葉
施設に入居中の母親が久々に「顔剃って」と言ってきた。
ケガをしてはいけないので、クリームをつけようとしたが、ない。
自分のハンドクリームでも…と鞄の中を探したが、冬は持ち歩いているが、夏場は持ち歩いていていない。
仕方がないので、軽くT字カミソリを当てるだけにした。
前は、クレンジングシートとオールインワンクリームを買って、置いていたのだが、
「もう使わないから買ってこなくて良い!」
と言われたので、それ以来持ってきていない。
その話をすると
「顔が痒くてね。乾燥しているのかな?!クリームいるね」
と笑った。
気持ちが元気になって、余裕が出てきた証拠だな!
嬉しくなった。
しかし、問題が…
母親は半身不随で右手しか動かない。
スキンケアが一回で済むようにオールインワンクリームを買うのだが、オールインワンクリームは蓋を開ける容器になっているのがほとんど。片手では開けづらい。
化粧水、乳液、美容液が一緒になったタイプを見つけた。
が、蓋を押し開けて容器を逆さにして液を動かない左手の手のひらに押し出す。そして、右手の指に液をつけて、顔につける。
この一連の動作を、右手しか動かない母親が出来るのか?!
コットンに液を染み込ませ、赤ちゃんのお口拭きの容器に入れて…とも考えたが、化粧水だけならともかく、乳液も一緒だと液が垂れないので、コットンに上手く染み込まない…
どうしたものか…と思ったが、とりあえず、化粧水、乳液、美容液が一緒になったボトルを持って行った。
母親に化粧品のつけ方を説明しながら、やってもらったところ、意外にも上手に出来ていた。
嬉しそうに、化粧品をつけている母親を見て、私も嬉しくなっていたところに、介護士さんが来て、同じように嬉しそうに話しかけてきた。
「片手しか使えないから、自分でつけれるか心配なんですけど、これしかなかったから…」
と私が言うと
「探すの難しいですよね。そうだ。顔を拭くためにタオルを渡すときに、私たちがつけますよ」
と言ってくれた。
…今までいろいろな施設にいた母親だが、そう言ってくれた介護士さんは初めてで。
私もそうだが、母親も自分から物を頼むことが出来ない性格なので、自分でしなければ…と思っていた。
本当に本当に感謝しかない。そんな言葉でした。
