またお前かい…南方熊楠…
「あ、これ進○ゼミでやったところだ!」的な現象って、本を読んでいると結構頻繁に起こるものではないでしょうか。
私は"興味を持った本を興味を持った時に読む"をモットーに色々なジャンルの本(親氏にはよく偏っていると指摘されますが)を乱読していて、まあ言ってしまえばただ己のクソオタクLIFEを満喫しているだけなのですが、一見内容の関連性が無さそうに見える本の中についこの間買った本の著者の名前が出てきたり、執筆年代がだいぶ違っているのに開いてみれば同じテーマを扱っていたりと、思いがけないところから「漏れ(自分)の趣味」を突きつけられて困惑することがよくあります。もちろん嬉しくて動揺する方の困惑です。救いようがない。
そんなこんなで今回は、最近本を読んでいたら予期せず2度もバッタリ遭遇した世にも奇妙な人物、"南方熊楠"氏の話をしようと思います。
南方熊楠という男


南方熊楠は、日本を代表する明治~昭和時代の博物学者・生物学者・民俗学者・全裸中年男性。
柳田国男から「日本人の可能性の極限」とも称されるほど正真正銘の天才・学問の巨匠である一方、かなりのクセ者で、今でもちょっと突けば色んなところからトンデモエピソードが溢れてくるトンデモナイ奴でもあるのです。
そんな南方熊楠氏に私が初めて遭遇したのは、とあるBOOKOFF文庫漫画エリアの水木しげるコーナーでした。
水木しげる『猫楠』

確か一年前くらいに買ったヤツかな。
『猫楠』というこの漫画では、「骨太で天衣無縫な」「日本史上最もバイタリティに富んだ大怪人」こと南方熊楠の生き様が安定の水木節で豪快に描かれています。
文庫にしてはかなり分厚い。そもそもこの本の主人公である南方熊楠氏自身が並々ならぬ波乱万丈な人生を送っているので、ここでサラッと内容紹介しようにも要約することすら困難極まりないのでカットさせていただきますが、とにかく興味があったら是非探してみてください。BOOKOFFだとラウバル戦記とか敗走記とかの近くに並んで置いてあるイメージがあります。
何事もなく…と言うには中々度し難い下品な場面も多々ありましたが……何とか読み終え、南方熊楠という多方面に渡って何かと”尋常じゃない”人物についての知見を深めることができた上、何より水木しげるの面白い漫画をまた一つ知ることが出来たということで、めでたしめでたし!
……と思っていたのですが……
城市郎著『発売禁止の本』

この本はニか月くらい前に中野のまんだらけ海馬で購入したもの。
表紙から既に怪しげな匂いがプンプンしていますが、おおよそ予想の通り、こちらの本は城一郎氏厳選の主に昭和初期の書籍、それも「無数の禁止本の中から、とくに珍しいもの、面白いものを選んで紹介」したものです。
昭和41年11月10日初刷。ちなみに定価は…

> ¥270 <
 ̄Y^Y^Y^Y ̄
時代を感じる。
これは単に趣味というか、立ち読みでパラパラ内容を見て面白そうだったので買ったものなのですが、さすがは生命力が粘菌並みの男・南方熊楠、ここでも一切の予告なしにひょっこり現われては強烈な爪跡を残していきました。それがこちら。


…??
ツッコミ所が多すぎてもはや何から指摘すればいいのか分からん。
そもそも状況が分かりにくいので説明すると、まず『未摘花』というオール発禁の句集が元ネタとしてあり、それに載ってる全句をクソ真面目に解釈・解説したのが九樽道人・方壺散史共著の『未摘花通解』という本。で、その中の〈まつだけで おごとむきみを かき廻し〉という句に対する評として、別巻の「いわば最高裁的判定」を下す段で南方熊楠が登場した、というわけです。
議題も句も評も全てが問題ありまくりな気しかしませんが、個人的には水木しげる先生の『猫楠』で読んだ通りの南方熊楠、ここにあり!という感じでした。漫画の時点で相当クセが強いので実エピソードがここまで解釈一致なのも中々すごい話だとは思うけどナ…。
内容はさておいて、こんなところでまで南方熊楠氏に遭遇するとは全く思っていなかったのでシンプルに驚きました。流石に「恐怖の全裸中年男性」なだけある。
にしても簡単に「ラテン語を解するものは」などと言っていますが、仮に「オゴ」の学名がすぐ頭に浮かぶような切れ者がいたとして、この珍妙不可思議な句を解せるかどうかは全くの別問題なような…
思わず「オマエだけだわ!!」と言いたくなるような登場の仕方でしたが、これも彼ならではの斬新な切り口、漫画だけにとどまらず新たな南方熊楠氏の"実話"を知ることが出来て大変光栄でした。と言ってもぶっちゃけ水木しげるを読んで抱いた本人のイメージと全然変わらなかったけどね。
最後に
今回は”最近何故だかキャラメル箱を握りしめた恐怖の全裸中年男性につけられている気がしてワロタ”という話でした。南方熊楠氏本人についての説明はほとんどしませんでしたので、気になる方はwikiなどで調べてみると色々詳しいことが分かってとてもイイと思います。ちなみによく熊楠氏の神童エピソードとして出てくる例の『和漢三才図会』、探してみたらメルカリで結構な数売られているのを発見してしまいました。いつか読んでみようかな。
以上です。読んでくださった方ありがとうございます。
