雨宿り喫茶店しずく【3つのお題に空想のひらめきを】
🐾お題②:「透明な長靴」
⏳お題③:「雨宿り喫茶店「しずく」
このふたつのお題で物語書いてみました
こちらに参加しました
いつも素敵なお題とイラストありがとうございます
雨宿り喫茶店「しずく」
チラシがポストに入っていた
しずく…カフェじゃなくて喫茶店なのか
私は特別気にすることもなく、いつものようにチラシをそのままゴミ箱にいれる
…雨宿り喫茶店?
さっきは素通りしたフレーズに目を通す
雨の日だけ開いてるとか?
絵本みたい、そんなの
ニャー
飼い猫が足にまとわりついてくる
頭を押しつける
餌をあげると
カリカリと音を立ててすぐに食べはじめる
夕焼けの光が部屋に入ってくる
こんな日は、開いていないってこと?
喫茶店なのに?もったいないな
私は、さっきゴミ箱に入れたチラシを拾う
良かった、生ゴミの方にいれなくて
小さな安心のあと、私は
えっ!と声をあげる
今ならあなたを特別招待します
無料です
雨宿り喫茶店「しずく」
さっき捨てる時には書いていなかった
絶対に
けども、自分を疑いもう一度読む
今ならあなたを特別招待します
無料です
雨宿り喫茶店「しずく」
あなたって私?
チラシにきくけど、もちろん答えない
チラシには
その言葉のみ
お店の住所も地図も書いていない
なんか、怖っ
私は寒くなるのを感じたくなくてチラシをぐしゃっと握りしめ、さっきより強くゴミ箱にいれた
なにあの、チラシ…
けど、もう疲れてて気にするの面倒だ
◇
夜中
真っ暗の中
猫が窓辺にいる
しっぽを丸めて
猫の目にだけみえる
窓の外には、透明な長靴を履いた
あおいろとあかいろの小さな小さな妖精達
何人もいる
それは青色と赤色の紫陽花たち
チラシ、捨てられちゃったや…
やっぱり
みんなにチラシからすべて
全部作ってもらえば良かったなぁ
猫はしょんぼりして、紫陽花に呟く
妖精達はみんな笑う
紫陽花の花がヒラヒラ
そうだね
けど、キミが自分で伝えたいって
自分の力で伝えたいって言ったんだから
チラシはまた作ればいいよ
紫陽花の妖精たちはそう続けて猫に声をかける
うん、ありがとう
猫はまた頑張ろうと思って喉を
ゴロゴロ鳴らす
じゃ、またね
あの雨宿り喫茶店はいつでもやっているから
いつかキミの大切な人が来てくれるといいね
チラシ作りからお手伝いするよ
キミにはその資格があるから
ただ、このしずくの雨の時期だけだよ…
猫は、紫陽花の妖精のその言葉にはもう返事せずに自分の大切な人のところへ向かう
◇
うとうとしてきた頭の中でぼんやり思い浮かぶ
あおいろとあかいろ、むらさきいろの中
あの日、雨でびしょ濡れで迷子になって
お腹減ってどうしようもなかった、ボクを
あなたが雨宿りさせてくれた
ボクはそのまま
このままこの部屋に
あなたの子に
あたたかいあなたのこの布団のなか
ゴロゴロ
ニャー
◇
私は、少し寝返りをうった
また猫が布団に入ってきたのか
拾った時より
ずいぶん大きくなったな…
重いよ、梅太郎…
私はそのまま眠り続けた
あったかい、梅雨の時期に拾った
梅太郎のぬくもりと一緒に
ねぇ、今日ね変なチラシがあったの
雨宿り喫茶店「しずく」
しずく
梅太郎、あなた
しずく だらけだったね
完
