全固体電池はゴールではない。CATLが見据える「その先」の電池
電気自動車の未来を語るとき、最近は「全固体電池」が決まり文句のようになっています。
もちろん全固体電池は大きな技術革新です。しかし、中国の電池最大手CATLは、そのさらに先を見据えています。
今回初めて「リチウム空気電池」を長期戦略として公言しました。
リチウム空気電池は、空気中の酸素を利用して発電するという、これまでのリチウムイオン電池とは発想そのものが異なる電池です。理論上のエネルギー密度は現在のリチウムイオン電池の4倍以上ともいわれ、実用化できればEVは一度の充電で1000kmを超える航続距離を実現する可能性があります。
さらに重要なのは、ニッケルやコバルトなどの希少金属への依存を減らせることです。資源確保が国家戦略になりつつある現在、この意味は非常に大きいでしょう。
とはいえ、実用化は簡単ではありません。
空気中の水分や二酸化炭素が反応を妨げること、充放電を繰り返すと性能が急激に低下すること、製造プロセスが確立していないことなど、多くの課題が残されています。
実際、IBMも2009年に商用化を目指しましたが、途中で研究を縮小しました。それほど難しい技術なのです。
それでもCATLが今このタイミングでリチウム空気電池に言及したことには、大きな意味があります。
現在はナトリウムイオン電池を量産し、全固体電池を実用化しながら、そのさらに先の技術まで研究していることを世界へ示したのです。
これは「私たちは次の製品だけでなく、10年先、20年先の主導権まで狙っています」という宣言でもあります。
AIの普及で世界の電力需要は急増し、電池の重要性はこれまで以上に高まっています。これからの競争は、自動車だけではなく、電力網、データセンター、航空機、ロボットなど、あらゆる分野へ広がっていくでしょう。
日本企業も全固体電池の開発を進めていますが、技術競争はそこで終わりではありません。
次の主役は誰になるのか。
その答えを決めるのは、「今ある技術を磨く企業」だけではなく、「まだ存在しない未来の技術に投資できる企業」なのかもしれません。
