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「マルメロの陽光 」ヴィクトル・エリセ監督1992年スペイン・ドキュメンタリー

この映画は、絵を描く僕にとってはバイブル的作品となりました。スペインの寡作巨匠エリセ監督のファンの方へお勧めできるかは微妙なんですが...。
とにかく画家アントニオ・ロペス・ガルシアの凄さなんです。有名な作品はスーパーレアリズム風の都市の道路やバルコニーからの風景、バスタブなどですが、写真を撮って模写するのではなく、現場での写生が基本の画家で、写真を撮るくらいなら固定ビデオを撮ってスタジオで完成させる手法で、あくまでも「時間経過」「変容」を描く画家であり、日本の「寂び」を追求しているようなスペイン人なのです。

スペイン版DVD 英語字幕で見ましたが言葉は不要です。

そんな彼が庭のクウィンス(マルメロ)の木を描き始めてから挫折するまでのドキュメンタリー。画家はクウィンスの木に数ヶ月とことん付き合います。葉っぱや果実に描いちゃってる白い線は、実が熟して枝が撓み、全体的に下降していくなかで、日々変わっていく画家の目線の位置のズレです。絵の具で描き始めて大雨で挫折し、鉛筆で再開したけど、熟した実が落ち出してしまって諦めます。最後に同じく画家である妻の絵のモデルになり、眠ってしまって夢を見ます。
絵としては未完ですが、美しいクウィンスの実のありままを愛した結論なのだと思います。万物の変容こそが美なのです。

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