【2.5 農園づくりへの想い】作物は何を作るの?ってよく聞かれるのだけど…
使ってない畑を聞きに役場へ行ったり、苗屋で花や温室の作り方を教わったり、農家さんに声をかけて世間話をしたり、知り合いにつないでもらったり。
この短期間で、いろんな出会いがあった。
まだ何も形にはなっていないのに、「あ、もう始まっているんだな」と思う瞬間が増えてきている。
農園づくりが、頭の中の構想から、少しずつ現実の手触りを持ちはじめている。
そんな中で、よく聞かれる質問がある。
「農園を作るために移住してきました」と伝えると、だいたい同じ言葉が返ってくる。
「で、何を作るの?」
とても自然な質問だと思う。
農園=作物を作る場所、というのは当たり前のイメージだから。
でも、そのたびに、少し言葉に詰まる。
「ぼくは、作物を作りたいわけじゃないんです…」
もちろん野菜も、ハーブも、果樹も育てたい。
でもそれは目的ではなくて、手段に近い。
ぼくが本当に作りたいのは、
やさしすぎて疲れた人が、回復できる場所。
いわば、人のためのビオトープのような場所を、自然の循環の中で育てたいと思っている。
農とか、ハーブとか、動物とか、火を起こすことや、土に触れることや、ゆっくりお茶を飲む時間。
そういう暮らしの要素を使って、ただ作物を育てるだけじゃなくて、少し呼吸が深くなるような、生き方を取り戻していける拠点をつくりたい。
がんばり続ける場所ではなくて、いったん緩めてもいい場所。
強くなるためじゃなくて、そのままでも大丈夫だと思い出せる場所。
それと同時に、「完成してから人を呼ぶ場所」にはしたくないと思っています。
きれいに整ってから公開する農園ではなくて、試行錯誤している途中から、一緒に関われる場所にしたい。
土づくりの途中も、失敗も、実験も、プロセスごと共有できる場。
未完成だからこそ、関われる余白があると思っている。
関わり方も、一つには絞りたくない。
手を動かす人。
育てる人。
整える人。
伝える人。
写真を撮る人。
文章を書く人。
売るのが得意な人。
それぞれの得意が、そのまま役割になる設計にしたい。
「農作業ができる人だけ」じゃなくて、
関わりしろがいくつもある場所。
そして、もうひとつの大事にしたいこと。
ここを、お金がちゃんと循環する場所にもしたいということ。
でもそれは、誰かが無理をして働く形ではなくて、その人の暮らし方やリズム、好きなことや得意なことが、小さくでも価値や収入につながっていく形。
がっつり働く人もいれば、時々関わる人もいる。
定住している人もいれば、旅の途中で関わる人もいる。
短期でも、部分的でも、一部として参加できる、柔らかいモデルをつくりたいと思っている。
農園というより、拠点。
仕事場というより、回復のインフラ。
目指しているのは、「回復できる居場所」と
やさしさとお金が同時に循環する仕組みを持った、農的な場。
まだ途中段階。
むしろ、ほとんどこれから。
でも、だからこそ書いておきたいと思った。
もしどこかに、同じ感覚を持つ人がいたら、いつかこの原村で、話ができたらうれしいな。
