🌸経営未来手帳・第183号「なぜ、AI時代こそ関係性の質が問われるのか」―AI時代に問われる、人を伸ばす関わり方
🌸経営未来手帳・第183号
「なぜ、AI時代こそ関係性の質が問われるのか」―AI時代に問われる、人を伸ばす関わり方
(執筆:安村明史/ビジネス能力開発株式会社)
木曜日は「人の成長と気づき」をお届けします。
■はじめに
AIの時代に入り、仕事の評価軸は少しずつ変わり始めています。
情報を集める。
資料をまとめる。
論点を整理する。
これらは、これまで高く評価されてきた能力でした。
しかし、AIが日常的に使われるようになれば、それだけでは大きな差別化になりにくくなります。
では、これから何が問われるのでしょうか。
私はその一つが、「人の可能性を引き出す関係性をつくる力」だと思っています。
人をやる気にさせる。
能力を伸ばす。
不安を受け止める。
失敗を次の学習につなげる。
このような関わり方が、これからのHRや組織開発では、より重要になるのではないでしょうか。
■1on1は「やっているか」ではなく「質」が問われる
多くの企業で1on1が行われています。
しかし、月に1回、上司と部下が話しているだけでは、関係性の質は分かりません。
その時間は、部下の内省につながっているのか。
安心して本音を話せる場になっているのか。
次の行動への力になっているのか。
問われているのは、1on1の有無ではありません。
1on1の質です。
そして、この「質」をどう考えるかが、これからの大きな問いになります。
■80点と70点の子どもに、何と声をかけるか
一つの問いを置いてみます。
あなたの子どもが、あるテストで80点を取りました。
次のテストでは70点でした。
そのとき、あなたは何と言うでしょうか。
「なぜ10点下がったの?」
「もっと勉強しなさい」
「次は90点を目指そう」
「よく頑張ったね」
どれが正解かは、簡単には言えません。
子どもの性格、努力の過程、親子関係、これまでの声かけによって、言葉の意味は変わります。
私の知っているある母親は、こう言ったそうです。
「80点と70点で、合わせて150点取れた。あなたは素晴らしい」
この言葉を、甘いと感じる人もいるでしょう。
安心を与える言葉だと感じる人もいるでしょう。
結果ではなく、存在そのものを認める言葉だと見ることもできます。
その子が次に良い点数を取ったかどうかまでは、私には分かりません。
ただ、この話には大切な問いがあります。
人を伸ばす関係性とは、何なのか。
■これが企業なら、どうなるのか
この話を企業に置き換えるとどうでしょうか。
部下が前回80点の仕事をしました。
今回は70点でした。
上司は何と言うべきでしょうか。
企業では、成果を求めないわけにはいきません。
数字、品質、納期、顧客満足。
どれも大切です。
しかし、成果だけを見て関係性を壊せば、人は萎縮します。
一方で、承認だけで終われば、成長の機会を失うこともあります。
だからこそ、関係性の質が問われます。
正しい答えは、一つではありません。
けれども、問いの方向はあります。
その声かけは、相手の未来を閉じているのか。
それとも、相手の未来を開いているのか。
■編集後記
親子関係でさえ、人の伸ばし方は難しいものです。
まして企業の中では、評価、役職、賃金、成果責任が重なります。
だからこそ、関係性を「良い」「悪い」で簡単に判断するのではなく、
その関係性は、人を伸ばしているのか
と問い続ける必要があるのだと思います。
■今日の問いかけ
あなたは、部下が前回80点、今回70点の仕事をしたとき、何と言って声をかけますか。
その言葉は、相手の未来を開く言葉でしょうか。
■ネコのつぶやき
「点数より、声のかけ方で未来が変わることもあるにゃ」
■おわりに
AIは、情報を集め、整理し、候補を示すことができます。
しかし、人を励まし、育て、関係性の質を高めることは、まだ人間の仕事です。
関係性の再定義とは、難しい理論ではなく、日々の一言から始まるのかもしれません。
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■安村 明史
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組織・経営の相談役(静かに伴走する役割)
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■次回7月10日予告
「なぜ、なまはげによる教育は有効か」
■付録

