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🌸経営未来手帳・土曜日(第157号)・完全保存版「なぜ、長谷川平蔵は世界より100年以上早い組織制度を作れたのか」――鬼平に学ぶ「エンゲージメント設計」という日本型マネジメント

🌸経営未来手帳・土曜日(第157号)・完全保存版「なぜ、長谷川平蔵は世界より100年以上早い組織制度を作れたのか」
――鬼平に学ぶ「エンゲージメント設計」という日本型マネジメント

(執筆:安村明史/ビジネス能力開発株式会社)
今日は土曜日なので歴史や文化のエピソードを通じて、週末に心に残るインスピレーションをお伝えします。


■はじめに

企業経営において、今あらためて問われているのが
人の成長をどう引き出すか
という問題です。
研修や評価制度は整っていても、
・主体的に学ばない
・組織への関与が弱い
・成長の実感が持てない
という悩みを抱える企業は少なくありません。
しかし日本には、約250年前に
人が自ら成長しようとする仕組みを作った人物がいました。
江戸幕府の火付盗賊改方、
長谷川平蔵です。
池波正太郎の小説『鬼平犯科帳』で知られる人物ですが、史実の平蔵は単なる盗賊取り締まりの役人ではありませんでした。
彼は、犯罪者を捕まえるだけでなく、
人が立ち直り、努力したくなる制度
を作った人物でした。
言い換えれば、彼は
世界初の「エンゲージメント設計者」
だったのかもしれません。


■石川島人足寄せ場という革新的制度

1790年、平蔵は江戸の石川島に
人足寄せ場
という施設を作りました。
当時の刑罰は基本的に懲罰中心でした。
しかし平蔵は、
・軽犯罪者
・無宿人
・生活基盤を失った者
を集め、
働きながら立ち直る制度
を作りました。
寄せ場では
・木工
・手工業
・各種作業
が行われ、収益の一部は本人の積立金になりました。
これは出所後の生活資金となります。
つまり平蔵は
社会復帰まで設計した制度
を作ったのです。
この発想は、後にヨーロッパで広がる矯正制度よりも
100年以上早いものでした。


■心学教育という人間教育

寄せ場ではさらに
心学教育
が行われました。
平蔵は心学者を招き、
月に数回、作業を休ませて講話を行わせました。
心学は石田梅岩の思想で、
・正直
・勤勉
・人としての道
を説く倫理教育です。
つまり寄せ場は
労働の場であると同時に教育の場でした。
これは現代で言えば
更生教育プログラムそのものです。


■水玉制度に見る心理設計

平蔵の制度の中でも特に興味深いのが
水玉制度です。
入所者には
柿色の着物を着せました。
その着物には
水玉模様がありました。
この水玉は
・入所直後 → 多い
・努力 → 減る
・最上級 → 柿色無地
という仕組みでした。
つまり
模様が消えるほど更生が進んでいる
という意味です。
この制度の重要な点は
人間の心理を利用していることです。
上級者は模範となり、
下級者はそこに上がろうと努力する。
つまり平蔵は
努力したくなる環境
を作ったのです。
これは後に世界の刑務所で採用される
累進処遇制度
とよく似ています。


■鬼平は世界初のエンゲージメント設計者

ここで重要なのは、
平蔵が単に制度を作ったのではなく
人のやる気を引き出す構造
を作ったことです。
・努力すると評価が変わる
・役割が増える
・社会復帰に近づく
つまり人は
自分の未来ビジョンが見えると努力する
という心理を活用していたのです。
これは現代の言葉で言えば
エンゲージメント設計です。


■現代企業への示唆

この考え方は、現代の企業にもそのまま応用できます。
多くの企業では評価制度はありますが、
「成長の階段」が見えません。
人は
・成長している
・役割が広がる
・次の段階がある
と感じたとき、
組織に強く関わろうとします。
そのために有効なのが
オリジナル認定制度
です。
例えば
・基礎認定
・実践認定
・上級認定
・マスター
といった段階を設けることで
社員は自分の成長を実感できます。
さらに上級者が後輩を育てる構造を作れば、
組織の中に
教育の循環
が生まれます。
これはまさに「学習型組織」の基盤になります。


■編集後記

鬼平の制度を見ていると、日本人は昔から
人の心を動かす仕組み
を作ることに長けていたのではないかと思います。
強制ではなく、
「努力したくなる環境」を作る。
これが鬼平の知恵でした。


■今日の問いかけ

あなたの会社には
社員が上に進みたくなる階段
がありますか?
成長の見える組織は、自然とエンゲージメントが高まります。


■ネコのつぶやき

「人は叱られるより、登りたくなる階段がある方が頑張るにゃ。」


■おわりに

長谷川平蔵は、犯罪者を取り締まるだけの役人ではありませんでした。
彼は
人が努力したくなる制度
を作りました。
その本質は「エンゲージメントの構造設計」
でした。
現代の企業もまた、人を管理するのではなく、
「成長したくなる仕組み」
を作ることが求められているのではないでしょうか。


「疲れた経営者が、少し言葉を預けられる場所として。
―経営者の深夜食堂」


🌸経営未来手帳の編集長が選んだ40選はこちら

─経営者が未来を読むための“構造地図”
https://note.com/quiet_gnu5848/n/n3596a857d755


■感想をぜひお寄せください。

yasumura@biz-noukai.com
まで。必ず拝見いたします。


■安村 明史

経営未来手帳
組織・経営の相談役(静かに伴走する役割)


■次回6月14日予告

「オロナイン軟膏に学ぶ――PDCAのCを完成させる技術」


■付録


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