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傘のような人になりたい

雨が降る。

空を見上げて、
人は雨を嫌うことがある。

濡れるから。

寒いから。

予定が変わるから。


でも、雨そのものは悪くない。

地球が必要としているものを、ただ落としているだけだ。

農家は雨を待つ。

乾いた土に降る雨を、祈るように待っている。

植物は喜び、
川は流れ、
大地は次の季節へ向かう。

同じ雨でも、受け取る人によって意味は変わる。

雨音が好きな人もいる。

窓を叩く音に、心を落ち着ける人もいる。

子どもは水たまりを見つけると、
少し嬉しそうに歩く。


昔の人は、雨を止めることはできないと知っていた。

だから、てるてる坊主を作った。

空を変えるためではない。

明日が晴れたらいいな、という小さな願いを形にするために。


だから雨は、なくすものではないのかもしれない。


人の心も同じだ。

悲しみ。
不安。
孤独。
誰にも言えない重さ。

それらを、
すべて消してあげることはできない。

人生から雨の日をなくすことはできない。


でも、

そばにいることはできる。

傘を差し出すことはできる。

てるてる坊主のように、
小さな希望を置くことはできる。

傘は雨を止めない。

てるてる坊主も、空を変える力はない。


それでも人は、雨の日に何かを願う。

少しだけ歩きやすくなるように。

少しだけ前を向けるように。

だから私は、大きな力を持つ人にならなくてもいいと思う。

誰かの人生を変えるほどの力がなくてもいい。


ただ、

「ここに来れば、少し濡れずに済む」

「明日は少し晴れるかもしれない」

そう思ってもらえるような人でありたい。


雨を止めるのではなく。

雨を消すのでもなく。

その人が、
自分の雨と一緒に歩いていけるように。


傘のような人になりたい。



WhiskyCat

この夜の話とは別に、WhiskyCatのカウンターから生まれた物語をまとめています。

WhiskyCat文学全集


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