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AI時代の創業期、何人必要ですか?

はじめまして。石原歩真です。私は神山まるごと高専に通いながら、株式会社Kaueluという会社を立ち上げている学生起業家です。Kaueluでは、AIの受託開発やハードウェア開発に取り組んでいます。

株式会社Kauelu代表
神山まるごと高専の二期生です。

生成AIが登場してから、「一人でできること」の範囲は大きく広がりました。文章を書く、コードを書く、資料を作る、調査をする。少し前なら複数人で分担していた作業を、今は一人でもかなり進められます。

実際、AIを使えば一人でも会社を始められる時代になっていると思います。少人数、あるいは一人でプロダクトを作り、世界中に売ることも現実的になってきました。

実際、AIエージェントを複数使って、一人で会社運営を進める創業者も出てきています。Open AIのサム・アルトマン氏が「AIがあればひとりでユニコーン企業も作れる」という趣旨の発言をしているように、AIは個人の生産性を大きく引き上げています。

では、AIによって一人で速く作り、一人で大きく稼げることは、本当に理想の未来なのでしょうか。
もしかしたらそうでもないかもしれません。

今日は実際に高専から複数人の会社を作った私だからこそ語れる、「AI時代の起業の正義」について、自分なりの一つの仮説を考えていこうと思います。



便利なサービスは、本当に正しいのか

まずはAI時代に作られたサービスを見ていきましょう。

AI時代のサービスは、作るスピードがとても速いです。思いついたアイデアを、すぐに形にできます。これは大きなメリットです。

一方で、速く作れるということは、社会に出るスピードも速くなるということです。そして、社会に出たサービスは、作り手が想像していなかった影響を生むことがあります。

たとえば、LUUPのような電動モビリティサービスは、移動を便利にする一方で、歩行者や地域社会にとっては安全性や交通ルールの問題を生むことがあります。

また、AutoReserveのような飲食店の予約をAIが代行するサービスも、ユーザーにとっては便利です。しかし、飲食店側からすると、AIによる自動音声電話や、店舗情報の掲載のされ方に困惑する場合があります。


ここで重要なのは、「便利なサービスだから正しい」とは限らないということです。

ユーザーにとって便利でも、その裏側で店舗、歩行者、地域住民、現場で働く人に負担が移っているなら、それは本当に正義なのでしょうか。サービス提供者が作った利便性のコストを、社会の別の誰かが支払っているだけかもしれません。


「技術的にできる」と「必要とされる」は違う

次に、自分の経験からも考えてみます。
私自身も、このことを実感した経験があります。

以前、私はあるベンダーに対して、「既存のシステム開発にAI機能を導入して、より高度なものにできないか」と相談したことがあります。AIを入れれば、システムの価値を高められるのではないか。そうすれば、案件として受けられるのではないか。そんな期待がありました。

しかし、結果としてその話はPoCにすら至りませんでした。

今振り返ると、私は「AI機能を導入できるかどうか」ばかりを考えていました。「本当にそのAI機能が必要なのか」「クライアントにとってどんなメリットがあるのか」「現場で働く人にとって使いやすいものなのか」を十分に想像できていませんでした。

技術的にはできるかもしれません。
しかし、現場はそれを必要としていませんでした。

この経験から、私は「AIを入れること」自体を目的にしてはいけないと感じました。AIは便利な道具ですが、現場の課題と結びついていなければ、ただの押し付けになってしまうのではないでしょうか。
素早く、質の高いものが作れるというだけでは価値にならないということに気づけたエピソードでした。


一人で作れる時代だからこそ、5人で考える

ここで、5人で会社を始めることの仮説を考えてみます。
一人で作ることには、意思決定が速く、人件費も少なく、自分の考えをそのまま形にできるという大きなメリットがあります。AIを使った一人起業は、今後さらに増えていくでしょう。それ自体は、個人が大きな力を持てるようになるという意味で、AIの良い側面だと思います。

しかし、一人で作ると、自分が見えている世界の範囲を超えにくいとも感じます。自分が困ったことのない問題や、自分の周りにいない人たちの痛みは、どうしても想像しにくいからです。

だからこそ、この時代において一人ではなく、5人で会社を始めることも、一つ正解の型と言えるのではないでしょうか。

毎日朝から夜まで、皆でオフィスにこもって作業

5人でやると、意見は割れますし、意思決定にも時間がかかります。私が「これは良い」と思っても、メンバーから「いや、それは違うのではないか」と言われることもあります。正直、大変なこともあります。しかし、その反対意見に助けられている場面も多いです。自分一人では気づけなかった視点に気づけるからです。

ただし、5人で集まれば自然に良いチームになるわけではありません。単純に5倍の馬力を出す、反対意見を言える空気や、違和感を無視しない文化を作る必要があります。ただ人を集めるだけでなく、集めるメリットを活かすことが大切だと感じています。


AI時代の正義とは何か

私が作りたい会社は、ただAIで効率よく稼ぐ会社ではありません。AIやハードウェアを使って、現実の社会に価値を出す会社にしたいです。

特に、私たちが携わるインフラや製造業のような現場に関わる領域では、技術だけでは解けない問題が多くあります。現場の人の負担、導入する企業の事情、地域社会への影響、安全性、責任の所在。そうしたものを無視して「AIで自動化できます」と言うだけでは、良いサービスにはなりません。

AI時代の正義とは、ただ効率よく成果を出すことではなく、誰かにとって便利なものを作るとき、その便利さの裏側で誰が困るのかを考えること。そして、できる限りその負担を社会に押し付けないように設計すること。それが、AI時代に必要な正義の一つではないでしょうか。

もちろん、完璧に正しいサービスを最初から作ることはできません。どれだけ考えても、想像できない問題は必ず起こります。だからこそ、一人の視点だけで進めるのではなく、複数のバックグラウンドを持つ人が集まり、問い続けることが大切だと思います。

一人で何でもできる時代だからこそ、誰と作るのかが大事になります。AIが人を孤立させ、一人で勝つための道具になる未来もあるかもしれません。でも私は、AIによって人がより良いチームを作り、より広い視点で社会を考えられる未来の方が理想です。

「あなた達がいてよかった。」そう感じてくれるプロダクトと会社を、これからも育てていきます。

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