従業員サーベイ、課題に向き合った職場改革。昼礼が育てた“話しやすいチーム”のつくり方【相模原センター 山口さん・小泉さんインタビュー】
2024年3月に、株式会社ギオンでは「ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)」を新たに策定。その浸透を目的に、同年5月、全社員を対象としたエンゲージメントサーベイを初めて実施しました。
エンゲージメントサーベイの結果、相模原センターの課題がいくつか挙がり、特に「コミュニケーション」「勤務時間」「休暇取得」に関する項目で、厳しい評価が出ました。
エンゲージメントサーベイの結果から1年、相模原センターはどのように変化したのか。今回は相模原センターのマネージャー・山口孝さん、リーダーの小泉迅さんに、当時の率直な思いやコミュニケーションの課題を改善するために実行したことについて、話を伺いました。
エンゲージメントサーベイ結果が突きつけた職場の課題
ー エンゲージメントサーベイ結果を受け取った際の率直な感想を教えてください。

山口:想像以上に厳しい結果でした。エンゲージメントサーベイの設問を見た時点で、ポジティブな回答が集まりにくいかもしれないという予感はありましたが、実際に届いた結果はその想定を超えるネガティブな内容で、正直ショックでした。
特に「コミュニケーション」や「勤務評価」の項目は、以前から自分自身でも課題と感じていた部分だったので、痛いところを突かれた印象です。
ーサーベイ結果を見たとき、相模原センターではどんな会話が交わされましたか?
山口:人事部から指示を受けて、すぐにリーダーやチーフメンバーと話す場を設けました。評価が低かった事実を伏せず、率直に伝えたうえで「今後どうするか」という前向きな議論に切り替えることを意識しました。

小泉:結果を見て「確かにそうだな」と思いました。普段から感じていた問題点が、エンゲージメントサーベイの数字となって現れていたので。多くのメンバーが内心では何かしらの課題を感じていたものの、誰かが指摘しないとスルーされてしまう空気がありました。
でもこの結果を見て、自然とメンバー間で認識を一致させることができましたね。エンゲージメントサーベイがきっかけとなって、正面から課題と向き合えた気がします。
まずは話す場をつくることから。職場を変えた昼礼
ー 改善に向けて、最初に着手したことは何でしたか?
山口:最初に取り組んだのは、「コミュニケーション全体の見直し」です。エンゲージメントサーベイの結果から、最大の課題は“コミュニケーション不足”だと認識しました。
当時は、私自身と従業員との間だけでなく、部署間でも情報の共有が十分ではありませんでした。他部署がどういう仕事をしているのかも分からなかったです。そのために、まずはコミュニケーションの質と頻度を変える必要があると判断しました。
ー コミュニケーション改善に向けて、どんな改善策を講じたのでしょうか?
山口:重視したのは、全体での情報共有の場を定例化・仕組み化することです。これまでは、出勤時間の違いもあり、そもそも部署単位でしか共有会を実施していませんでした。そのため、全員が集まって横断的にコミュニケーションを取る機会がなく、情報が偏ったり伝わらなかったりすることが課題でした。
そこで、1日1回、全員で集まる昼礼の場を設けました。部署を超えた情報共有の機会を確保することで、組織全体としての足並みをそろえることができたように感じます。


朝礼・昼礼の内容や形式そのものも見直しましたね。具体的には、業務連絡にとどまらず、メンバー全員が発言できるような形式への変更です。上司だけが一方的に話すのではなく、反省点や改善点、意見交換などを含む双方向の対話の場として設計しました。
昼礼の内容は毎回文字起こしをして掲示するようにしました。欠席者や外出者にも内容がきちんと伝わるようになり、情報の抜け漏れを防げます。
掲示は事務所内に貼り出し、全員が確認できるようにしました。掲示内容は関係者全員が押印して確認することで、情報の浸透を徹底することと、受け身ではなく能動的に関わってもらうことを意識しています。
ー 取り組みを通じて、現場での変化を感じた場面はありましたか?
山口:変化を感じたこととして、特に印象的だったのは、長らく行われていなかった社内の飲み会や食事会が、社員の発案で自然と再開されたことです。
コロナ禍以降、そうした場はしばらく開催されていなかったのですが、「そろそろやりましょうよ」という声が現場から出てきて、久しぶりに開催されました。
小泉:改善策に着手し始めた段階から、「これは良い方向に進みそうだな」と感じていました。ちょうど2024年9月頃から昼礼を導入したのですが、当時は昼礼自体が存在していなかったので「共有の場がある」というだけでも大きな変化でした。
日々の昼礼をきっかけに、メンバー同士の会話も自然と増え、雑談や軽いやり取りが飛び交うようになったんです。小さな変化の積み重ねが、結果として人間関係の質を高め、職場の雰囲気全体を柔らかくする土壌になっていったと思います。
休める空気はリーダーの声かけから
ー 「勤務時間」や「休暇取得」についても、エンゲージメントサーベイでは課題が見えたと伺いました。具体的にはどんな状況だったのでしょうか?
山口:以前は業務が逼迫していたため、有給休暇を取りづらい空気がありました。そのような状況だと、「他⼈に迷惑をかけてしまうのではないか」と思って、自分から休みを取得すると言いにくい人も少なくありません。
ー 勤務時間や休暇取得の状況を改善するために、どのような取り組みをされたのですか?

小泉:リーダーとして、こちらから個別で声をかけるようにしました。「最近有給取ってないですけど、どっか取りたい日はありますか?」と。地道な声かけかもしれませんが、こうした一人ひとりのメンバーへの働きかけがあるのとないのではずいぶん違うように感じます。
業務量や人員体制も改善したこともあり、休暇取得のハードルは下がっています。残業時間も少しずつ減ってきており、1時間程度で退勤できる日も増えました。「早く帰れる」「休みが取れる」ことが、自然な空気として根づき始めていると思います。
スコア改善後に見えた新たな課題
ー 2025年の春ごろに実施した第2回のエンゲージメントサーベイではスコアが全体的に改善したとか。
山口:そうですね。全体としてはスコアが着実に改善したことを確認できました。ただし、すべての項目が理想的な水準に達したわけではなく「活力」や「職場の同僚と気軽に話せるか」といった一部の項目については、依然として平均を下回っている状況でした。
そこで現在は、その弱点に対する取り組みを継続して実施しています。たとえば「仕事中に活力がみなぎると感じるか」という設問のスコアが低かったことを受けて、毎朝のラジオ体操を導入しました。
黙々と思考しながら業務を行うことが多いため、意識的に身体を動かす時間を設けることで、リフレッシュや集中力の向上を図るのが狙いです。
ー 「職場の同僚と気軽に話せるか」の項目への改善として、新たに取り組まれたことはありますか?
山口:2025年7月から誕生日プレゼントの取り組みを始めました。職場内では、業務以外の話題が生まれにくい環境になりがちですが、誕生日を祝うことが気軽な会話のきっかけになればと考えました。
実際にやってみると、誕生日のメンバーは喜んでくれましたし、みんなで盛り上がりました。小さなきっかけが、メンバー同士の距離を縮めるきっかけになっていると実感しています。
大事なのはコミュニケーション。相模原センターが大切にしたい文化
ー エンゲージメントサーベイの改善がうまく進んだ背景には、どんな人の存在や動きがあったのでしょうか?

山口:やはり、現場で動いてくれたリーダーの存在が大きかったですね。なかでも、小泉さんのような現場のリーダーが原動力となってくれたことが、改善の推進力につながったと感じています。
私がどれだけ情報を発信しても、それを現場で自走・実践してもらえなければ、広がりは生まれません。日々のコミュニケーションや雰囲気づくりは、現場の中心にいるリーダーが動いてくれるからこそ成り立つものだと、あらためて実感しました。
小泉:会社としては、「祇󠄀園塾(ぎおんじゅく)」という企業内大学を実施しています。リーダーやチーフ、マネージャーを対象とした1年間のプログラムで、「マネージャーコース」と「ベーシックコース」に分かれています。
こうした全社的な取り組みも、リーダーとしての意識や考え方を深めるきっかけになっていると思います。現場での実践に加えて、祇󠄀園塾のような場で得られる学びがあることで、自分自身も少しずつ着実に成長できていると感じています。
ー 今後、相模原センターとして大事にしていきたい“文化”って何だと思いますか?
山口:仕事が忙しい中でも「プライベートも楽しめる空気」を持ち続けることです。どうしても日々の業務でバタバタしがちですが、仕事だけにならない雰囲気を大切にしたいと考えています。
実際、相模原センターでは、柔らかい空気が少しずつできていると感じます。柔らかい雰囲気があることで、仕事にも前向きに取り組めたり、人との関係も自然とよくなっていったりすると思うんです。
だからこそ、一過性のものにせず、継続的に根づかせていくことが大切だと考えています。
ー 他のセンターや企業に向けて、エンゲージメントサーベイ結果を活用した職場改善の取り組みに関するアドバイスがあれば教えてください。
山口:一番大事なのは「コミュニケーション」だと思います。今回の経験を通して、あらためて強く実感しています。
コミュニケーションは、職場づくりのすべての基盤だと思っていて。できていないと、チームとしての一体感が生まれなかったり、職場の雰囲気がギスギスして悪化しやすくなったりしてしまいます。
私たちの職場でも「うまくいっていない」と感じていた時期がありました。しかし、コミュニケーションを意識的に増やす取り組みを行ったことで、状況は変わってきました。
今まさに悩んでいる職場こそ、まずは対話の機会をつくることから始めてみてほしいと思います。難しいことをしようとしなくても、「声をかける」「話を聞く」「共有する」といった小さな積み重ねが、職場の空気を変えるはずです。

