音楽コラム#9 グラミー賞ノミネートされた
今年のグラミー賞(第68回)のベスト・ゴスペル・アルバム部門において、僕が全曲でギターを担当したライブ作品、Tye Tribbett「Only On The Road (Live)」 のノミネートが先週発表されました。
実は2年前、僕が参加した、同じくTyeのアルバム 「All Things New: Live in Orlando」 が 第66回のグラミー賞でベスト・ゴスペル・アルバムを受賞 しています。さらにその10年前、第56回のグラミー賞(作品は2013年リリースの 「Greater Than」)でも、ベスト・ゴスペル・アルバム賞 と ベスト・ゴスペル・ソング賞 の2冠に輝いた作品に全曲ギターで参加していました。僕にとってこれは本当に光栄なことであり、日本でただのギター小僧だった自分にとっては、まさに奇跡のような出来事だと思います。
ゴスペルはライブが命。
今回のこの作品は、去年2024年の5月から6月に行われたツアーの中から厳選された曲が収録されています。前回グラミーを受賞した作品も、フロリダ州オーランドで行われたコンサート(その前に出たスタジオアルバムのリリースコンサート、ややこしい、、)の“録って出し”みたいな作品で、もちろんミックスでかなり化粧はされていますが、ギターパーツにおいてはオーバダブ一才無し。
”ゴスペルあるある“なのですが、ライブ版は実はあまりライブじゃ無い説。ゴスペルのアーティストが、スタジオ作品を出す前に「新譜」がライブ版というのがあまり珍しくなくいのです。もちろんライブレコーディングはするのですが、曲にによってはドラムとオーディエンスの歓声以外はスタジオでやり直しみたいな場合も、、
その点で他のライブ作品と違って、ポストプロダクションがあまりされていないよりピュアなライブ作品になっています、自分だから分かるミスもちゃんと残ってたり、特に今年の作品のツアー中は、ワイヤレスを使ってステージで走り回ったり、ジャンプしたりかなり動いてました。
ただ、ここで正直に言うと“グラミー受賞作品に参加する”ことと、“グラミーを受賞する”ことのあいだには、大きな差があるんです。
もちろんグラミー受賞作品またはノミネート作品に参加することはたいへん名誉なことは確かだけど、実は細かいクライテリア(条件)があって、ベストアルバムの場合、受賞者はメイン・アーティスト、プロデューサー、エンジニア(ミックス担当)だけで、その人達だけがグラミーのトロフィーを貰えるのです。実は「貰える」は厳密に言うと違くて、あのトロフィーが“購入”できる権利を「貰える」のが正しい。
僕みたいなミュージシャンは参加した証明書を購入することができます。一年の間のある数ヶ月の間に申請を済ませなければいけなく、前回購入した時は一枚150ドル払いました。10年前は75ドルだった気がする、それでも高いけどね。
ベスト・ソング部門の場合は、もちろん作詞家や作曲家にも受賞の権利があります。たとえば「Song of the Year」や「Best Gospel Song」など、“曲そのもの”を評価する部門では、アーティストだけでなく、作曲や作詞に関わった人たちも正式な受賞者として扱われます。
グラミー賞は実は90以上のカテゴリーがあり、これでも昔よりは減ったほうらしい。それでも、ジャンルの幅はとにかく広く、正直ゴスペル/クリスチャン音楽はメインのカテゴリーに比べ、少しニッチなカテゴリーだ。
実は数年間ほど、グラミー賞の選定委員としてフィラデルフィア支部のレコーディング・アカデミーに所属していた時期があります。中には「推し」の空気があるのも否めません。たとえば、地元のアーティストやプロデューサーが関わっているプロジェクトだったり、同じシーンの仲間が推薦している作品だったり。子ども向け音楽(Best Children’s Music Album)のような部門は応募数が少なく、比較的受賞しやすい“狙い目”なんて噂もある。業界の中では、ちょっとした冗談として語られる話です。
アメリカの音楽業界ではやはりグラミー賞は権威なので、自分のキャリアに箔がつきます。ローカルの現場で「グラミー・ダイ!」と呼ばれたりするたびに、「いや自分は受賞じゃなくて参加っ、スタチュー(トロフィー)所有してないっす。」と訂正するのに疲れて、最近ではそのまま受け流してます、
しかし、4回目のノミネート、そのうち3回受賞した作品に関われてるって事はギタリストとして僕は、間違った事はしてなかったって事かなと思う。
