大好きという道
今までは「大好き」という道があった
嬉しいも
寂しいも
会いたいも
大切に思っているも
選ばれたいも
あなたのものでありたいも
全部をその言葉に込めて、伝えることができた
「ご主人様のことが大好きなんです」
そう言えば、それでよかった
嬉しかったことも
寂しかったことも
会いたいと思ったことも
ご主人様にとって特別でありたいと思ったことも
ご主人様のものでありたいと思ったことも
全部、「大好き」という言葉の中に入れることができた
その言葉は、私にとって無敵だった
ひとつの言葉なのに
私の中にあるたくさんの想いを
まとめて伝えることができたから
でも、今は
その道がない
「愛情がわからない」
そんな主に
私は、何をどう伝えればいいのだろう
会いたいと言うには、少し違う
もちろん会いたいと思うことはある
でも、私の中にあるものは
「会いたい」だけではない
寂しいと言うには、足りない
寂しいと思うこともある
でも、それだけではない
大切と言うには、何かが違う
好きと言うには、届かない気がする
特別と言うには
その言葉だけでは収まりきらない
そうやって
ひとつひとつの言葉が
途中で止まる
伝えたい想いは、ちゃんとある
むしろ、たくさんある
ありすぎる
だからこそ困っている
ひとつの言葉に入れようとすると
どこかがこぼれてしまう
「会いたい」と言えば
会いたいという気持ちは伝わる
でも、それ以外のものは
その言葉の外に置かれてしまう
「寂しい」と言えば
寂しさは伝わる
でも、私が伝えたいのは
寂しさだけではない
「大切」と言えば
大切に思っていることは伝わるかもしれない
でも、それだけでは
私の中にあるものを
言い表せている気がしない
だから今
私の中にある想いは
行き場を失っている
伝えたいのに
言葉がない
言葉を探しているのに
どれも違う
ひとつを選べば
他のものが置いていかれる
だから今
私の心の中で
想いが渋滞している
前に進みたいのに
どの言葉を選べばいいのかわからない
私はまだ
主に向けた
私だけの言葉を見つけられていない
