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【出遅れたしそ】我が家の梅漬け大業と、1本で3度おいしい漢方の宝山

先週末、霧雨が降る中、
植木鉢の前にしゃがみこんで、
水滴のついたしそ(紫蘇)をザクザクと刈り取った。

しその茎って、実は断面は四角いんですよね。
ハサミを入れた瞬間、ふわっと爽やかでスパイシーな香りが広がる。

お恥ずかしい話、うちのしそは完全に「遅刻選手」。
——本当は7月頭には、
梅酢に浸けた梅たちをしそで色付けしてあげる予定だったのに、
うちのしそがなかなか大きくならなくて。

気づけばスーパーの店頭からも生しそがどんどん消えていく……
「皆様はとっくに梅干し大業を完遂されているんだろうな」と、
完全に出遅れた自分に焦る日々(笑)。
 
でも、やっとの思いでこの日を迎え、
ようやく我が家の梅たちに「お待たせ!」と言えました。
 
収穫した紫蘇たちは、
まだ若いからなのか、葉っぱがとにかく柔らかい。
きれいに洗って塩を振り、
手でギュッギュッと1〜2分もみ込むだけで、
葉っぱが一気にしんなりとして、
鮮やかな紫色の汁(アク)が溢れ出てきた。

この「アク抜き」作業、
綺麗な紫の汁を絞り捨てるのが、
なんだか「もったいない」ような不思議な気持ちになります。

YouTubeのお手本通り、
紫蘇を計3回ほど“いじめ抜いて”(3回のアク抜き)、
いざ梅酢へ投入!

するとほんの一瞬で、
梅酢が美しいルビー・レッドに大変身。
まさに天然の化学反応!
ずっと待っていたこの瞬間、本当に感動しました。

ここから一ヶ月、
じっくり待てば、
いよいよ人生初の手作り「梅漬け」にありつける予定。

そう、「梅干し」ではなく「梅漬け」。
旦那の強い希望(こだわり?)により、
今年は天日干しをしない、
ジューシー系の「梅漬け」に路線変更となったのです。

シンクに流れていく鮮やかな紫色の汁を眺めながら、
ふと「紫蘇」という名前の由来に改めて納得してしまいました。
——本当に、どこまでも、綺麗な「紫」だなぁ、と。

……あれ、ちょっと待って。
私たちがよく食べる「大葉(おおば)」も紫蘇じゃない?
あんなに鮮やかな緑色なのに?

というわけで、
「あなたは紫色しそ派?それとも緑色しそ派?」
……いや、こんな無粋な質問はやめておきましょう。
きっと「どっちも不可欠派」ですよね。

では、紫と緑、どっちが“本物”の紫蘇なのでしょう?

青しそ(大葉)は香りが爽やかで葉も柔らかく、お料理向き。
お刺身のツマ、サラダ、天ぷら……
あぁ、書いているうちにお腹がすいてきた。

一方、紫のしそは香りがもっと力強く、
食感がややザラっとしていて少し苦味もある。
そのため、直接食べるよりは
シソジュース(シロップ)にしたり、
梅干しや紅しょうがの色付けに使われたりすることが多いのです。

なんだか青しそに比べて、
紫しそはちょっと地味な裏方役に聞こえますか?

いえいえ、
実は紫しそには、もっと大きな晴れ舞台があるんです——
それが「漢方」!

紫色のしそに豊富な赤紫の色素「シソニン」。
青しそにはほぼ無い成分です。

じゃあ「紫=薬効が強い」ってこと?
と思いきや、実は決め手は色ではなく香り成分のバランスにありました。

紫色のしそが持つ「香りのブレンド」が、
体にこもった寒気を追い出して、
じんわり汗をかかせるのに絶妙な黄金比率になっているんです。

だからこそ、
漢方の生薬としては昔からずっと「紫色のしそ」が主役なんです。

もっと面白いのは、
1本のしそから、生薬がなんと3種類!
まさに「宝の山」なんです!

① 紫蘇の葉(蘇葉・そよう)


蘇葉の性味は「辛・温」、
肺と脾の経絡に入ります。

一番の得意技は
「解表散寒(げひょうさんかん:体の表面を温めて寒気を追い出すこと)」。

ちょっと寒気がして「風邪の引き始めかな?」というときに、
紫蘇生姜茶をサッと一杯飲めば、
意外と初期症状で食い止められたりします。

🍵紫蘇生姜茶の作り方:紫蘇の葉+生姜+黒糖を煮出すだけ。
     紫蘇はさっとゆでる程度がベター。
     煮すぎると香り成分(=効き目)が飛んでしまうので要注意です。

麻黄のような他の解表散寒系の生薬と比べると、
紫蘇葉はもっと穏やか。
しかも胃腸の調子まで整えてくれる優れものです。
だから、お腹が弱い人の風邪治療で大活躍します。
有名な漢方薬「香蘇散(こうそさん)」や「参蘇飲(じんそいん)」の“蘇”は、
まさにこの紫蘇の葉のことなんですよ。

ちなみに、風邪で食欲がないときに、
お粥の上にしそのふりかけ(ゆかり)をパラッとかけるのも、
理にかなった昔ながらの胃腸養生法です。

これだけでなく、
蘇葉には「魚介類の食中毒予防(解魚蟹毒)」という独特な効能もあります。
お刺身に大葉が添えられていたり、
魚・カニ料理にしそを薬味として使う地域が多いのは、
実はこれが理由なんです。

② 紫蘇の種(蘇子・そし)


紫蘇の種は本当に小さくて、ほんのり香りもします。
蘇子の得意技は
「降気化痰(こうきかたん:気を降ろして痰を鎮めること)」。

咳を伴う風邪だけでなく、
慢性気管支炎や気管支喘息の漢方薬にもよく登場する頼れる存在です。

例えば、市販もされている「蘇子降気湯(そしこうきとう)」は、
まさに体力が落ちた高齢者や虚弱体質の方の咳・息苦しさを和らげるための漢方薬。

実はこの蘇子、我が家の常備生薬でもあります。
「漢方の蘇子(生薬)からしそを発芽させられるのかな?」なんて、
ちょっと気になるところ。
来年の春、
小さな鉢で変態的な実験に挑戦してみようと思います。(笑)

③ 紫蘇の茎(蘇梗・そこう)


トリを飾るのは、一番地味に見える茎。
断面が四角いのが特徴で、切るとこれまたいい香り。

蘇梗の効果は
「理気寛中(りきかんちゅう:お腹の巡りを良くすること)」。

つまり、胸やお腹が張って苦しいときにぴったりの生薬です。
さらに特別なスキルとして、
「安胎(あんたい:妊娠中の胎動不安を鎮める作用)」も持っています。

昔は、妊娠中に気が塞いでウツウツしたり、
情緒が乱れて胃腸の調子が悪くなり、
胸苦しさや吐き気が出たとき、
漢方医はこの蘇梗を使って「気」を巡らせて治療していました。
 
「気が巡れば、胎(赤ちゃん)も安らぐ」という考え方です。
 
(※もちろん現代においては、妊娠中に何か異変を感じたら、まずは病院を受診するのが一番安心です!)

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小さな紫蘇一株が、
余すところなく使い尽くされていく。

葉は風邪の引き始めに、
種は咳やしつこい痰を鎮めるために、
茎は気の巡りと安胎に。

そのうえ、
梅干しや紅しょうがの色付けにもなるし、
シソジュースやゆかりにも変身する。

うっかり緑色(青しそ)に育ったとしても、
それはそれでお刺身の名脇役として高級店デビューできちゃう。

これぞまさに、本物の「医食同源」ですね。

さて、丸坊主にするくらい刈り取った我が家のしそ。
それから一週間経った今、
紫色の新しい葉っぱがまたわっさわっさと育ってきました!
今度収穫したら、次はシソジュースに挑戦する予定です。

樽の中の梅を覗いてみたら、
ほんのり赤く色づき始めていて……あぁ、愛おしい!
しそちゃん、本当にありがとう。

(一ヶ月後、梅漬けが完成したらまた報告しますね!)

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