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写真は撮り忘れたけれど。故郷の味噌カレーラーメンのこと

夕方から降り出した雨は、いつの間にかみぞれに変わっていた。

寒いはずだ。

もう4月に入ったというのに。

「着いたよ」

旧友の言葉に前を見ると、前方に懐かしい建物が見えた。

車を降りると、外の冷気に、思わずコートの前をかき合わせた。

店内には、5、6組の客が入っていて、少し安心した。

まだここは人気なんだな。

駅周辺があまりにも寂れていたので、
この店ももしかしたら、と心配していたのだ。

はじめに食券を買うシステムも変わらない。
値段は、けっこう上がっていた。

この店での私のオーダーは、何十年も同じだ。

「私は味噌カレー」

旧友も同じメニューを選んだことに、思わず笑ってしまった。

味噌カレーラーメンの食券を2枚買い、席に着く。

窓の内側には、麺を茹でる蒸気のせいか、
びっしりと結露していた。

まるで冬みたいだ。

ラーメンが運ばれてきたとき、
店員さんが
「甘いしょっぱいあったら言ってくださいね」
と声をかけてくれた。

昔から変わらないその言葉に、嬉しくなる。

勢いで食べ始めてしまい、写真は撮り損ねた。

言葉もなく食べ進み、気がつけば、きれいに完食していた。

今になって思えば、
味は少し変わっていたのかもしれない。
でも、それでいいと思った。

帰省するたびに、
どんどん寂れていく故郷の街。

そこには、
自分を待っていてくれる人は、もういない。

何もかも変わっていく、その中で、
変わらないものが、まだここにあった。

高校生の時、
友人らとワイワイ言い合いながら食べたあの味が、
まだここにある。

それは、私にとって、
新たな故郷になりつつある。

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