フィリピンで子どもがデング熱に感染──7日間の入院で知った医療の現実【完全保存版】
「ただの風邪だと思っていたのに──」
南国フィリピンで暮らす以上、“蚊が媒介する病気”は決して他人事ではない。頭ではわかっていたつもりでしたが、いざ自分の息子が感染し、ぐったりとする姿を目の当たりにすると、冷静ではいられませんでした。
今回は、息子がドゥマゲテの「Silliman University Medical Center (SUMC)」に7日間入院した実体験を記録します。症状の変化から、驚きの入院費用、現地の病院設備まで。これからフィリピン移住を検討されているご家族に、心の底から伝えたい「リアルな医療の現実」をまとめました。
1. 「蚊に刺された」から始まった、予期せぬ闘い
フィリピンでは蚊に刺されること自体は日常茶飯事です。 しかし、息子の脚に複数の刺し跡を見つけたあの日、それが1週間以上にわたる壮絶な戦いの幕開けになるとは、夢にも思いませんでした。

【症状のタイムライン】
1日目:突然の発熱 夕方から38.4度の熱。うなされて眠れず、体のだるさが目立つ。
2日目:激しい熱の上下 朝は38.1度、昼は37.4度まで下がるが、夜にはまた38.3度へ。この「熱が上がったり下がったりする」不安定さが、デング熱特有の嫌な予兆でした。
4日目:急変、そして入院 朝は微熱でしたが、数時間後に「強い腹痛と頭痛」が急激に発生。ただごとではないと判断し、すぐにSUMCを受診。レントゲン、エコー、血液検査の結果、即日入院が決定しました。
5日目:正式な診断 血液検査の結果、正式に「デング熱」と診断。血小板の数値はまだ正常でしたが、医師からは「これから急落する可能性が高い」と告げられました。
7〜9日目:新たな苦痛 痛みは引いてきたものの、投薬の影響でひどい口内炎が発生。飲食が困難になり、見ているのも辛い状態が続きました。
11日目:ようやくの退院 本来は2週間の入院が必要と言われましたが、経過が良好だったため、飲み薬の継続を条件に退院の許可が下りました。

2. 潜入レポート:Silliman University Medical Center の設備
ドゥマゲテの名門、シリマン大学付属病院(SUMC)。個室(Private Room)の設備は、日本の病院とは似て非なるものでした。

部屋の設備
家電: エアコン、冷蔵庫、テレビ完備。
家具: 患者用ベッド1台 + 付き添い用のソファベッド。
通信: Wi-Fi(3端末まで接続可能)が利用できたのは、在宅ワークを抱える親には救いでした。
水回り: シャワー・トイレ付き。病棟内にはウォーターサーバー(温水・冷水)もあります。
驚きのアメニティ
不織布バッグの中に、以下のものが揃っていました。
タオル2枚、固形石鹸、シャンプー、洗濯洗剤、歯ブラシ、トイレットペーパー、食器用洗剤、1Lの水ボトル
「日本の病院のように何でも揃っている」と期待しすぎると驚きますが、必要最低限のものは準備されています。ただし、お子さんの使い慣れた枕やタオル、暇つぶしの道具は持参必須です。
3. 入院中の1日:医療スタッフの手厚いケア
SUMCのスタッフは非常に丁寧で、対応もスムーズでした。英語での説明に苦戦する場面もありましたが、医療の質そのものは日本と遜色ないと感じました。
AM 6:00: 点滴チェック
AM 8:00〜: 飲み薬、飲水量・排泄チェック(デング熱では水分の管理が非常に重要です)
PM 1:30: 医師の回診(Professorと呼ばれる専門医がやってきます)
PM 3:00: 部屋の掃除
看護師さんは頻繁に様子を見に来てくれ、親身になってケアしてくれました。

4. 気になる「費用」:フィリピンの医療費は安くない!
「フィリピンは物価が安いから、医療費も安いだろう」 もしそう思っているなら、今すぐその認識をアップデートする必要があります。今回の7日間の入院でかかった費用は以下の通りです。
Professor Fee(主治医・専門医への謝礼): 28,000ペソ
入院費(検査・部屋代等): 62,970ペソ
処方薬: 1,572ペソ
合計:92,543.10ペソ(日本円で約24万円前後)
※1ペソ=2.6円換算
大学病院の専門医(Professor)にかかると、その技術料だけで数万円単位の費用が発生します。治療内容によっては日本より高額になるケースも珍しくありません。海外旅行保険への加入、またはキャッシュレス診療の確認は、移住者にとって「命綱」です。
5. デング熱だけじゃない。南国で注意すべき蚊の病気
フィリピンにはデング熱以外にも、蚊が運んでくる感染症が存在します。
チクングニア熱: デング熱と症状が似ていますが、関節痛が非常に強く出るのが特徴です。
ジカウイルス: 軽症が多いですが、妊婦さんが感染すると胎児に影響が出る可能性があるため、特に注意が必要です。
マラリア: 山岳部や僻地でリスクがありますが、幸いネグロス島の都市部ではリスクは低めです。
6. まとめ:移住家族が自分を守るための5箇条
今回の入院生活を通じて、私が学んだ教訓を共有します。
子どもの発熱はまず「デング」を疑う: 楽観視せず、熱の出方に違和感があればすぐに病院へ。
血液検査を躊躇しない: デング熱の確定には血液検査が不可欠です。
医療費の備えを万全に: 「Professor Fee」は高額です。保険の適用条件を必ず確認しておきましょう。
「蚊対策」は生活インフラ: 網戸のチェック、蚊取り線香、防虫スプレー。これは趣味ではなく、身を守るための義務です。
信頼できる病院を事前に決めておく: いざという時に迷わず駆け込める場所を、平時からリサーチしておきましょう。
「健康こそが最大の節約であり、最大の移住準備である」 息子の退院の日、ドゥマゲテの青い空を見上げながら、私は心からそう思いました。
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