散歩していただけなのに…
この時期は夜になると、
近所の公園を歩きます。
気温もちょうどよく、風が気持ちいい。
犬の散歩が多い
多いんです。
子供と犬を連れている人たち。
先日もたくさんいて、
私は遊歩道の縁を黙々と歩いていました。
すると前方から、
柴っぽい犬と10歳くらいの女の子が、
母親に連れられて歩いて来たのです。
私は避ける
お母さんは右手で柴のリードを持ち、
左手は女の子と手を繋いでいます。
お母さんは両手が塞がり大変そう。
私は脇に避けて、待ちました。
お母さんはすれ違い際に、
『こんばんは。すいません』
と会釈してくれたので、
私も会釈して言いました。
「いえいえ、お疲れさまで…」
『ワンワンワンワンワン!!』
敵認定
なぜか柴は、
私を一瞬で敵認定してきたのです。
しかしまあ、
私も犬を飼っていたことのある身。
しかも見たところこの柴は、
まだまだ子犬の面影があり、
やんちゃ盛り。
私は特に動じることもなく、
そのままやり過ごすつもりでした。
ですが、
お母さんの方が焦ってしまい、
『コラ! ダメでしょ! ! 』
と言ってリードを引いたのです。
リードを引かれた柴は、
興奮した様子でお母さんと女の子の、
周りをグルっと一周走って、
お母さんに飛びつきます。
お母さんと女の子の足首には、
リードが見事に一周回っていて、
飛びついた柴の勢いで、
一瞬で輪が締まります。
そして見事に、
2人と1匹はひと塊になって、
ひっくり返りました。
『コラだめでしょ! キャアアァァァ! ! 』
『お母さん痛いーー! ! 』
『ワンワンワンワンワン! ! ! 』
大惨事
えええぇぇぇぇぇええええぇぇぇぇぇぇ
ちょ、まって? !
こんな大惨事になる? ! ?
なんかもうこれほぼ、
俺のせいじゃね? ! ? !
いやいやいやいやいやいや
気を使って脇に避けて、
会釈して挨拶しただけで、
わずか5秒後にこんな大惨事ある? ! ? !
私は咄嗟に駆け寄って、
とりあえず女の子を起こそうとします。
『ワンワンワンワンワンワンワンワン! ! ! 』
『コラ! ! ダメダメ! ! ダメだから! ! 』
『お母さん足が痛いーーーー! ! 』
悪は去るのみ
……あ~
ダメだこれ~~
俺がいる限り、
この場に平和は訪れないわ~~~
穏やかな風の、爽やかな夜に、
近所の公園で散歩をしているだけで、
諸悪の根源になる日が来るとはね~~
そうして私は、
「ごめんなさい!
私がいるとダメなので行きます! ! 」
と、全力で謝ってその場を去りました。
少し離れてから振り返ると、
立て直したお母さんにより事態は収拾し、
女の子は立ち上がり柴に怒っていて、
柴はオロオロしていました。
よし、帰ろう
なんかもう、
「生まれてきてしまって、ごめんなさい」
みたいな心境になっていた私は、
速やかに公園を出て、
街灯もロクにない裏道を黙々と歩き、
家に帰ったのです。
いやほんと、
なんか全然わかんないんですけど、
とにかくすいませんでした。
