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できることをやる【しなやかな強さ 04】

できることをやる【しなやかな強さ 04】

「穏やかさを取り戻すには、できることをやること」
そう書きました。
今回は、できることについてです。

うちの教室に入会する生徒の多くは、最初から勉強できる状態にありません。
教室に来ることさえ、難しい場合もあります。

そんな時は、今やっていることがあるならそれを続けるように。
何もすることがないというなら、好きなことをやったらいいと伝えます。
好きなことをと言うのは、やり始めやすいからです。

サイクリング、筋トレ、ストレッチ、音楽、読書、絵や漫画を描く、手伝い、犬の散歩、プラモデルつくり・・・

「勉強する気になるまで、何をやっていた?」
私からそう尋ねて、返ってきた答えです。
こんな時間を過ごすことで、穏やかさと力を取り戻せます。

私の教室で、勉強できない段階でよく取り組んでもらうのが「思考力パズル」と呼ばれているパズルです。
勉強ではなく、パズル。

動けなくなっている時、「やる気が出たら動こう」と思っても、なかなか動けません。
因果は逆です。
動くことで、落ち込みは軽くなる。
これは行動活性化という、認知行動療法の技法を裏付ける理屈です。
小さな行動を少しずつ増やすことで、状態を少しずつ改善していくアプローチにつながります。

やる気があるから動くのではなく、動くからやる気になる。
だから最初の行動は、ハードルを小さく。
小さければ小さいほどいい。

私の教室の場合、先に書いた思考力パズルが、その小さな行動として機能しています。
パズルを解いていて、答えが分かった時の
「アッ!」
という感覚。
これが気づきの瞬間です。

気づきは、人にとって「快」の感覚。
考え、気づき、納得するという流れが「快」を生み、その感覚が人を集中させます。
パズルを完成させた時の達成感は自信にもなるでしょう。
またやりたいという気持ちも、喚起させます。

そしてその達成感は、繰り返し味わえます。
集中することで、先々の不安を堂々巡りで考え、心を疲弊させる「反芻思考」を断てます。

パズルはご家庭でもできます。
没頭できる時間が増えると、自然とネットやゲームに向かう時間も落ち着いてきます。
日常でやることが一つ増える。
それだけで、時間の使い方は少しずつ変わります。

もちろん、やることのお勧めはパズルだけではありません。
ただし、なんでもいいのか?
と言われたら、そうではありません。
何をやるのかには、条件があります。

「意味を感じられること、あるいは没頭できること」
この二つのどちらか、あるいは両方の要素があれば、小さな行動は状態を変え始めます。

逆に、意味を感じられず、没頭もできないことを無理に続けても、助けになりません。
また、やるべきではないこともあります。
具体的には、命や健康に関わること、犯罪につながること。
依存的なゲームやスマホの利用、そして夜遊びです。

これらは、
「周りの大人が、その子にしがみついてでも、止めるべきこと」
私はそう考え、お伝えしています。

できることをやる、とは、大きな一手を打つことではありません。
意味か没頭か、もしくは両方がある小さなことを、淡々と続けること。
それが力と動機づけになります。
それだけで穏やかさと力は、少しずつ戻ってきます。
その先に、学びへの道は自然と開けてきます。

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