今、職場でイライラしてはいけない
怒りの感情を抱くのは仕方がない。でも、年度内に仕事を辞めると決めた今、職場で「イライラ」してはいけない。華の金曜日、怒りの頂点に立ってそんなことを感じた。
9月の3連休に有給休暇をつなげて、プチ合宿をしよう。前々からそう計画をしていた。時間を確保して、集中的にやることを片づける。留学準備については、志望動機のまとめや英語のスコアメイクなどをこなすには、頭の回転の悪い私にはそれくらいの時間が必要だ。仕事の方もこのスケジュールが実現するように進めてきたつもりだった。
しかし、仕事というのは大半は相手あってのこと。相互で認識の齟齬が生じた時、自体はとても厄介になるものだ。ある業務を委託しているのだが、成果物の案の出来があまり良くない。正確にいうと、出来の良さとは何かの点で、相手と「感覚的なズレ」があった。当初の提出日は合宿初日となる休暇予定日の前日で、合宿では心置きなく留学準備ができるはずだった。
しかし、これまで何度もやりとりをしてもなかなか改善しない。締切日になってミスの発見が相次ぎ、結局、休暇を取り消して出勤し、一緒に作業をすることになった。
「せっかくの合宿計画が、台無しだ」
そう思うととても悔しくなった。12月になるともう忙しくて自由に休みが取れなくなるだろうから、今のうちに有給休暇をなるべく多くとっておきたいという思いもあった。
そんな中、やり取りは続けども、私の意図は伝わらない。
今思えば、私自身ものすごく感情的になっていた。日ごろの寝不足と、計画がだめになってしまった不甲斐なさと焦り、なかなか伝わらない彼らとのやり取りの中で怒りがどんどんこみあげてくる。
声が震えているな、と自分でも思った。私の電話の声のトーンがだんだん下がり、口調も鋭いものになっていったようだ。電話のやり取りを終えた後、それを聞いていたらしい隣の席の後輩が私の方を見ていた。
「大丈夫ですか」
私はイライラが止まらないまま「ありがとう」とは言ったが、顔を挙げて彼の目を見ることなく、下を向いて資料を眺めたままそう言い放ってしまったことを今更後悔するーー。
コミュニケーションは、お互いの努力が必要だ。特に「この人苦手だ」とおもう人とは特にそう。私のイライラはおそらく相手にも伝わったのだろう、相手の口調も次第に乱れてきた。
最終的に、相手の発想力には頼らず、修正すべきことを全て具体的に文字にして、指摘通りに修正するよう資料を作って渡した。提出の締め切りをは翌週に伸ばし、確認作業はまた来週。この時すでに就業時刻をとっくに過ぎていた。休日返上、残業はもう、勘弁して……。
メールを送った後、さて帰ろうと思ったところですぐに相手から電話が来た。私が送った資料にメモが入っていないらしい。そんなはずはないと思ってファイルを確認してみたら、どうやら保存をせずにファイルを閉じてしまったようだ。
結局オンラインミーティングをし、メモしたことを思い出しながら、どこをどうするかを逐一指示した。一度行った作業を繰り返している。でも、今回は自分のミスだから誰も責められない。イライラが仕事を生んでしまった。ミーティング終えた後、別の緊急業務で残業していた上司がひとこと。
「怒っちゃダ・メ」
今日で2人目だ。私、相当イライラしていたようだ。ちなみに彼女は他人の非を責めることではプロフェッショナル中のプロだが、いつだって「イライラ」の気配はない。
私自身にも非はある。言葉を使うのが下手だから、相手にきちんと伝わらなかった。それともうひとつ、イライラの原因である「時間の確保」ができないということは自己都合であって、職場では業務が予定通りに終わらないなら終わるまでやるしかない。おまけに職場にはまだ辞職することについて何も報告していない。私が定時で帰りたい理由なんて、他の人には知る由もない。
一層のこと、仕事を辞めようと思っていること、有給休暇をいただきたいと正直に周りに伝えられたらどれだけ楽だろう。
しかし、世の中そんなに甘くない。かつて激務だった職場で、休みがちになり、ついに連絡も取れなくなってしまった後輩がいた。当時の同僚は最初は心配していたものの、次第に彼女のことを組織の「リスク」の3文字で片付け、もはや所属しているだけで迷惑のような発言を聞いたのが、トラウマとなっている。
イライラするのは仕方がないことだ。留学でも転職でも、自らの意思で環境を大きく変えるとき、感情がざわつくことは自然なことに違いない。それがその人にとって大きな決断だったら、なおさらだ。でも、怒りの感情を処理せず、感じるがままに自分の外に漏らして、嫌な空気を流してしまうのはお互いに良くない。何より、留学準備のイライラを職場に持ち込むと、この先、今この現在が「苦い思い出」になってしまう気がする。
「時間の確保」はどうしようもなく、限られた時間の中で自分で何とかするしかない。しかし、イライラをためず、だからといってたれ流しもせず、しっかり言葉で処理すること。むしろきっと、今後言葉の面で苦労するであろう海外生活ではより必要となるスタンスだと思う。
仕事相手よ。気づきをありがとう……。
