407.【WACK峮峮スピンオフ#8】峮峮(チュンチュン)みこちゃん大王とバトル?
大家好。WACK峮峮スピンオフの8回目は、チアリーダーの峮峮(チュンチュン)。今回はみこちゃんとのコラボ回です。
今回のコラボは、丸武の下書きに、みこちゃんが加筆修正したものです。そのため、いつもより充実した文章になっておりますが、みこちゃんにホント感謝です!
さて、WACK峮峮スピンオフの8回目は、ノートガルドの街から舞台を台中市の洲際球場に移します。中信兄弟のホームグラウンドです。登場人物は、みこちゃん、ポンちゃんに、Peggy(左)と小白団長(右)です。

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「ありがとう、みなさん。私たちはPassion Sisters!」
Passion Sistersとは、台湾プロ野球チーム「中信兄弟」のチアチームだ。今日もその魅力を観客席に惜しげもなくさらしていた。観客はもちろん野球ファンであるが、中には、このPassion Sisters目当てで来る人もいるくらいだった。
3回裏が終了し、Passion Sistersの前半の出番も終了。次は一塁側と三塁側のグループを入れ替え、7回からの登場になる。
しばらく控え室でくつろいでいた峮峮(チュンチュン)がPeggyと一緒にぶらぶらと外に出てきた。そこにいたのは、幼稚園に上がったくらいの女の子と、ポンタのぬいぐるみ。
「わぁかわいい~」
子ども好きな峮峮が小さな女の子に駆け寄る。Peggyもそれに続く。
「あ、このぬいぐるみも。よくできてるね」
Peggyが笑った。
峮峮はみこちゃんを完全に子ども扱い。頭なでて、頬ずりして、頬にキス。だっこしようとしたら…
(え、重い……)
みこちゃんは中国語がわからないのでキョトンとしている。でも優しくされて、顔は満面の笑みだった。日本人であり、台湾現地で働いているポンちゃんが、峮峮とPeggyに、中国語で水戸黄門の助さん格さんのように答える。
「控えよ、控えよ、このお方をどなたと心得る」

峮峮もPeggyも日本の時代劇を知らないので、ポンちゃんの言ってることがわからない。
(しまった。思いっきりスベってしまったのか……)
焦るポンちゃんを見て、しばらくポカンとしてた2人だが、ハッとしてPeggyが言う。
「ぬ、ぬいぐるみがしゃべった~」
「え、やっぱり。でも空耳じゃないの?」
「絶対しゃべったって」
ぬいぐるみのポンちゃんは胸を張って、2人に告げる。
「私は中国語の通訳。動画製作もできるのだぞ」
峮峮もPeggyもびっくりして、言葉が出てこない。
「で、こちらのお方だが、職業は野球スカウト。みこちゃん大王なのであ~る!」
「お子ちゃまがスカウトって……」
峮峮もPeggyもへたり込んでしまった。そこにやって来たのが小白団長。
「これは、これは、みこちゃん先生。ようこそ」
峮峮とPeggyは驚いた。
「い、今、みこちゃん先生(迷狗醬老師 Mí gǒu jiàng lǎo shī)って言ったよね」
小白団長、2人を見ると口を開いた。
「そうか、2人は知らなかったのか。こちらは、みこちゃん先生。中信兄弟の有能なスカウト」
「ポンちゃん、通訳してね。迷狗醬老師のご紹介が遅れましてすみません。こちらは、野球スカウトのみこちゃんと申します」
「迷狗醬老師が今までスカウトしたのは、錚々たる選手たちです。ライブリー(萊福力)、デポーラ(德保拉)…、李振昌(リー・ジェンチャン)の獲得にも関わってるんですよ」
「そうだじょ。台湾の野球は投手陣がだいじだからね。えっへん、おっほん」
みこちゃんは、満面の笑みでそう言った。
みこちゃんと小白団長のやり取りに、峮峮は真っ青になった。とんでもない失礼なことをしてしまったのだ。
「あ、あたし……ごめんなさい!知らなくって」
みこちゃんは言う。
「峮峮のこと知ってるよ。日本でもとっても人気だから」
Peggyは慌てて、そわそわしだした。
「わたし、何か飲み物買ってくるから」
と、飲み物を買いに行ってしまった。
(え、Peggy、ずるい……)
峮峮は助けを求めるように、小白団長を見た。団長はいたずらっぽく、峮峮を諭すように指をフリフリ言う。
「こちら怒らすと怖~い方なので、これからは気をつけるように」
みこちゃんが慌てて言う。
「兄さん勘弁してよ。また、トラブルメーカーみこちゃんみたいなイメージがついちゃう……」
「いや、冗談、冗談。安心して、峮峮。みこちゃん先生、頼りがいのある方だから」
小白団長はスキップぎみな足取りで去っていく。

みこちゃんと目が合った峮峮、ドギマギして……やっと言葉を出した。
「ホントごめんなさい!失礼なことしてしまって」
「気にしなくていいんだよん。あなたが子ども好きなことも知ってるし。ところで峮峮、日本向けの発信はどう?」
そこにパタパタと足音を立てて、Peggyが戻ってきた。飲み物をいくつか抱えている。
「どうぞ、どうぞ。ここにお座りください。飲み物は何がいい?」
「じゃあ、タピオカミルクティーお願い。タピオカは日本でも人気だじょ」
「どうぞ」
Peggyはてきぱきと進めていく。峮峮は我に返ったように言った。
「あ、日本向け……、まだ日本語ができなくて」
「峮峮、それ違うよ。どんなことでもいいから発信することが大事。前の『がつがつ』とか『おはようでやんす』みたいな日本語も、日本じゃ大ウケしてたから。峮峮がかわいいだけじゃなくて、その人柄が日本人は大好きなの。もっと素のまんまやっていいんだじょ」
峮峮は頬を少し赤らめた。
「恥ずかしがることなんてない。あなたが日本のファンに向き合ってるってことを伝えるだけでいいの。これはビジネスでもあるけど、それより大事なのは、日本のファンにメッセージを送ること。だから親友のPeggyも協力してあげてね」
Peggyがニコニコして言う。
「またTikTokやる? あ、ストーリーでもいいな」
「そうか、そうだね。できることはたくさんあるね」
「見てる人のことあれこれ考えるより、どんどんできることやってった方がいいかも」
みこちゃんはそれに応じて言った。
「そう、それそれ。ステージで応援してるとき、どうしてる? お客さんと一緒になって盛り上げるよね。そうしたケミストリーで、高揚感が生まれ、それがお客さんの楽しみ。Peggyもそれわかるでしょ」
Peggyは小さいみこちゃんに視線を合わせ、目でうなずいた。2人とも真剣な表情に変わった。
「ケミストリーって、パフォーマンスに熱があるから、ダンスに力があるから。でもそれだけじゃない。Passion Sistersって一人ひとりの個性を発揮して、けっこう自由にやってる。ユルいし……でもそこがいいんだよね」
緊張も解けて、思わず笑みがこぼれる峮峮とPeggyだった。
「わたしたち、すぐわちゃわちゃするもんね」
「よくお客さんに笑われてるし」
「そうそう……」
笑ってしまう2人に、みこちゃんもまた満面の笑みを浮かべた。
「わかってきたじゃない。もちろんパフォーマンスも大事だけど、プラスアルファがどれだけできるかだよね」
みこちゃんはタピオカの最後をジュルルと音を立てて飲み干した。
そして、みこちゃんは峮峮に言った。
「峮峮、去年あなたはなかなかできない体験をしてる。それは大きな財産。あなたの言葉は絶対に人の心を打つはず。だからもっと発信しなきゃ、何でもいいからね。大事なのはむしろ、言っている内容じゃなくて、だれが言ったかということなの。すごいことなんて言わなくていいんだよ。峮峮が自分の言葉で自分の体験を言う。このことを日本のファンも一番望んでいるのだじょ」
峮峮はみこちゃんのような満面の笑顔で言った。
「ありがとう。何をするかが見えてきた感じがする」
「じゃあ、7回からの応援、楽しみにしてるよ」
そう言って去っていく、みこちゃんとポンちゃん。子どもとぬいぐるみが歩いていく様は奇妙だったが、峮峮とPeggyには、ほのぼのとした光景に映った。

峮峮が言った。
「みこちゃん、優しかったね」
「そう、頭が切れるし、有能なスカウトって感じがした」
「なんか励まされた。また頑張れそう」
そうこうしているうちに、7回の出番が迫ってきた。
「今日は特別に、いいパフォーマンスができそうだよね……」
峮峮がそう言うと、Peggyが真面目な顔で頷いた。
峮峮は足取り軽く、ステージに向かった。
最後に、みこちゃんが去っていく途中、2人を振り返って言った言葉を思い出していた。
「日本では『野球は筋書きのないドラマ』だと言われているじょ。峮峮もPeggyも筋書きのないドラマのように応援をやるといいじょ。あなたたちのチアは練習通りやるのではなくて、ゲームや観客の方々から力をもらって、もっともっと自由にやったらいいじょ。」
「自分らしく発信しようね」
峮峮が言った。
Peggyが「うん」と頷いた。
球場への階段を登りきると、Passion Sistersをスタンドの観客が拍手で迎えた。
今までよりももっともっと素のまんまやってみよう。
峮峮の笑顔はこれまでで一番輝いていた。
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今回のコラボは、みこちゃんに「とても楽しかったです!」と言ってもらえて良かった!WACKの良さを改めて認識しました。
「みこちゃん大王」という呼称、これは『Dr.スランプ』の「ニコチャン大王」をもじったもので、ワガハイ非常に気に入っております。
WACKの関連記事は次のマガジンから。
今までのWACK峮峮スピンオフは次のマガジンからどうぞ。
峮峮スピンオフは、のろのろと続きます。。
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