432.【WACK峮峮スピンオフ#17】悪魔のパラソル
悪魔がうずくまっていた。真っ黒な影のような容姿で、小さい子の背の高さくらいだ。
「どうしたの?」
子どもだと思って、峮峮(チュンチュン)が近づく。悪魔はケガをしてるようだ。
「あっ、大変」
そう言って、峮峮はバンドエイドを取り出し、悪魔のケガしてると思われる体に貼ってあげた。曖昧な表現になっているのは、悪魔が空間に浮き出た真っ黒い闇のような感じなので、どこが手だか足だかわからなかったのだ。
「ありがとう。僕は悪魔なのに、いいの?」
「え、悪魔? そんなの関係ないよ。ケガをそのままにしてたら良くないし」
心配そうな峮峮を見て、悪魔は言った。
「君は優しいね。お礼にこれをあげよう」
悪魔は峮峮にパラソルを渡した。
「そのパラソルを開くと、君の願いが何でもかなうよ」
そう言い残して、悪魔はサササッとその場から立ち去った。
パラソル、それは洋風の日傘で、ちょっとおしゃれなデザイン。
「願いがかなうパラソル? ちょっとやってみよう」
そうして峮峮がパラソルを開くと、ダニエル・アーシャムのピカチュウが現れた。

ビックリした峮峮、
「これって、世界に500体しかないやつ。何十万とするあれ……」
少し怖くなりつつも、もう一度パラソルを開いた。今度は、エアジョーダン1レトロが現れた。
「うそ~、これとんでもないヤツでしょ!」
悪魔のパラソル
一度開けば たちまち満足
悪魔のパラソル
願いがかなう あなたの笑顔
峮峮は何度もパラソルを開いた。シャネル、ヴィトン、イヴ・サンローラン、そしてイヤリング、ペンダント、ブレスレット。友達にご馳走もした。高級中華に、和食、フレンチ、イタリアン、フルーツ、スイーツ、何でもござれ。
悪魔のパラソル
一度開けば たちまち満足
悪魔のパラソル
願いがかなう あなたの笑顔
峮峮は何度もパラソルを開く。でもいつだったか、様子が変わってきたことに気づいた。お願いしたものが出なくなってきたのだ。ブランド品はすべてパチモン、食事はすべてジャンクフード、仕舞いには蛇、サソリ、カエル、ゴキブリが出る始末。
峮峮は怖くなって、パラソルを開かなくなった。どうなっちゃったの?
今日はお誕生日会。いつもの4人と会う日だ。待ち合わせの場所に近づくと、途中大元(ターユエン)に出会う。大元は峮峮に気づいて言った。
「峮峮、お誕生日おめでとう!」
「ありがとう!その服素敵~」
「峮峮の服も……あれ?化粧が……え、肌荒れ?」
「ウソ!」
慌てて化粧室に駆け込む峮峮。確かに、お化粧崩れ。直そうと思ったら、ボロボロと崩れる皮膚。
「ウソでしょ!こんな……」
皮膚は溶けて流れるように崩れていく。どんどん崩れて、血が流れ、骨が見えてきた……
「わあっ!」
そこで目が醒めた。びっしょりと汗をかいている。
(夢だったの……)
「良かった」と思うより、「悪魔のパラソル」という言葉が頭に浮かんだ。
(初めはスゴいものが出てきたけど、だんだん出なくなって、ついには自分の顔が……)
峮峮は頭を振って忘れようとした。でも、「あれが悪魔なんだ」という認識が頭の中を駆け巡った。忘れたかったので、声に出して言った。
「あ~あ、誕生日の朝に変な夢見ちゃったな。今日、大元と会うのか。なんか会いづらい……」
峮峮はのろのろと起きて、シャワーを浴びに行った。
🍒 🍒 🍒
突然のショートストーリーですが、これを書かないと、後の展開がよくわからなくなるので入れました。悪魔というのは喜びを与えるのですね。皆さんも、信じられないほど良いことが続いて起きてるときは、くれぐれもご用心あれ!
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今までのWACK峮峮スピンオフは次のマガジンからどうぞ。
峮峮スピンオフは、のろのろと続きます。。
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