398.【WACK峮峮スピンオフ#6】峮峮(チュンチュン)のパセリ、セージ、ローズマリー、タイム!
峮峮(チュンチュン)は立っている。直径10メートルくらいの円形の広場の真ん中に。そこには白い砂が敷きつめられている。
空に太陽はない。青空もない。曇り空でもないのに、空は白くまぶしいくらいに輝いていた。
(ここはどこ?)
ぐるっと見回すと、円形の外側は四つに仕切られていた。ちょうど四等分されるかたちで、境界線が直角に交わる感じ。その交点は円形の広場の真ん中で見えないので「感じ」と言うしかない。
そして、その四つの大地は四つの色に彩られていた。青、黄、赤、緑……
振り向くと、一人の老人が立っていて、峮峮は驚いた。
(どこから来たんだろう?)
老人は長い白髪と白い髭、白いローブをまとっている。正に老賢人。

「あなたは?」
「私は無名なる無明」
「無名なる無明……」
峮峮は首をかしげながら、四色の大地に植わっている植物が気になって、そちらに歩いていった。
(この植物、なんて名前だろう)
老賢人が言った。
「ローズマリー……」
「えっ」

老賢人は優しくうなずいて答えた。その安らかな声に、峮峮はホッとして言った。
「他の所は……同じ、かな?」
「青はパセリ、赤はセージ、黄はローズマリー、緑はタイム」
「パセリ、セージ、ローズマリー、タイム……。あ、スカボローフェアだ」
老賢人はローズマリーに近づき、その花に優しく触れながら言った。
「そのとおり。そしてこの四つの大地の色は方角を表している。青は東、赤は西、黄は南、緑は北」
「じゃあ、このローズマリーが咲いているのは南?」
「そう。この黄色い区域の真ん中が真南だ」
峮峮は綺麗に整えられたその場所を、南から右回りにぐるりと回った。ローズマリー、セージ、タイム、パセリと一周して、また南のローズマリーに戻った。しゃがんでローズマリーの花に近づく。

老賢人は峮峮に尋ねた。
「今悩んでいることは?」
「すぐ太るの。代謝が悪くなっていて」
「ではないな」
「え、じゃあ……」
峮峮は、亡くなった小鬼兄さんのことを思い出して……
「そうではない。もっと重要なことだ」
そう言われると、峮峮はわからない。何だろうと思って、無言になった。
ローズマリーが植わっている大地の色は黄色だ。それに気づいて、峮峮は言った。
「黄色……、中信兄弟のカラーね」
「黄(ホァン)、それだけではないぞ。あなたが一番大事にしていたものだ」
小鬼兄さん、黄鴻升……。峮峮は思い出して、涙が止めどなく流れた。
「彼のことは間違いではない。しかしもっと重要なことがある」
峮峮は顔を上げて老賢人を見た。涙をぬぐうと、好奇心が優った。
(何か大事なことを教えようとしてる……)
「いい目をしてる。きっとこの謎は解けるだろう」
「謎って何?」
「それは教えるものではない。苦労して手に入れたとき、それはあなたのものになる」
ここで言葉を区切って、老賢人は続けた。
「この黄色の大地に植えられているローズマリー。これをしっかりと覚えておきなさい」
「覚えておくとどうなるの」
「それがあなたの救いとなる」
峮峮はローズマリーに近づいて香りをかいだ。振り返ると、老賢人は消えていた。
🍒 🍒 🍒
※ヘッダー画像は今後のストーリーに関連するものを選んでいます。
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